東アジア杯の「惨敗」を未来につなげるために。

中国・武漢の地で行われたサッカー東アジアカップ
国際Aマッチ」扱いされないローカル大会で、「国内組」オンリー&初代表組多数、というチーム編成とはいえ、ハリルホジッチ体制になって初めてのタイトル戦で、しかも相手は勝手知ったる北朝鮮、韓国、中国、というメンバーということもあって、戦前の期待はそれなりに大きかったはず。

だが、後半終了間際の痛恨の失点で敗れた北朝鮮戦を皮切りに、韓国戦はやっとのことでドロー、中国戦でも勝ち切れずにドロー・・・と、1勝もできずに4チーム中4位、という無残な結果で大会を終えることになってしまった。

自分がまともに試合を見たのは、最後の中国戦だけで、それだけ見れば、そんなに恥ずかしくない試合はしていたと思う*1

自慢のパスはきちんと回せていたし、ボールキープ率でもシュート数でも相手を圧倒できていた。
これが完全アウェーの舞台ではなく、もう少し、敵陣付近でのファイルを審判がしっかり取っていてくれれば、“楽勝”という展開になっていても不思議ではなかっただろう。

だが、同じように最初の2戦で苦戦し、最後に地元中国と対戦する、という展開になりながらも、最終戦で若い選手たちが活躍し、見事に勝利を挙げた女子代表に比べると、今一つ覇気に欠ける試合運びになってしまったことは否めない。

初代表の武藤雄樹選手が、随所で好機を演出し、フィールドを所狭しと駆け回って、同点ゴール等々チームに大きな貢献を示す一方で、そろそろ代表に馴染んでも良いはずの宇佐美選手や川又選手は、噛み合わないプレーを連発*2

守備では、山口蛍選手や、森重選手がさすが、という安定感を示す一方で、Jリーグでの経験では彼らと大差ないはずの槙野選手が、相手選手と対峙した時も、パス回しに入る時も、見るものをハラハラドキドキさせっ放し・・・という状態で、チーム全体としてなかなか波に乗れないまま、90分を終えることになってしまった。


ここ数大会、ずっとアジアの代表としてW杯に出ている、といっても、実力の差がそこまで歴然としているわけではなく、予選でも冷や冷やさせられる場面が必ず訪れる、というのが、今の日本のA代表のレベルだから、海外組がいない“飛車角落ち”の状態で極東のライバルたちを圧倒できるわけでもなかった、と言えばそれまでだし、それを理解した上で、「代表メンバー底上げ」の観点からメンバーを人選し、経験を積ませたハリルホジッチ監督の先を見据えた“戦略”を、「4位」という結果で批判するのは、いくら何でも近視眼的な発想に過ぎる、と自分は思う。

ただ、ハリルホジッチ監督については、就任直後に代表に招集して親善試合等でもそれなりに見せ場を作っていた選手たちを、シンガポールとの二次予選で今一つ使いこなせなかった、という前歴もあるところで、今回も、大会を通じて光るところを見せていた永井選手や武藤選手、中国戦でデビューして一応の結果を示した丹羽、米倉といった選手たちを、これからの公式戦でどう使っていくか、という点に懸念は残る。

今大会に参加した選手たちが、苦しい経験の中で、敗北という代償と引き換えに学んだこと、そして得られた経験値は決して小さなものではないと思うだけに、それを「フル代表」という環境にどうやって効果的に還元していくか・・・  

その課題をクリアしたときに、今大会の目標は初めて達成され「未来につながる歴史の一ページだった」ということになると思うだけに、秋から始まるW杯予選の人選にも注目しながら、もうしばらく見守っていきたいと思うところである。

*1:終了後のインタビューで、選手たちが「3試合の中で一番良かった」と口々に言っていただけのことはある試合だったと思う。

*2:特に前半の川又選手は、味方選手との呼吸がほとんどあっておらず、再三の好機でむざむざ相手にボールを回す場面が何度となくあった。

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