あの頃。

最近、音楽を聴くということに縁遠くなっていて、CDも長らく手にしていなかったのだが、たまたまチャンネルを合わせた歌番組で、アーティスト自ら宣伝していたのを目にして、思わずAmazonで購入してしまったのが、↓である。

MEMORIES 3-Kahara Back to 1995-(初回限定盤)(DVD付)

MEMORIES 3-Kahara Back to 1995-(初回限定盤)(DVD付)

阪神大震災があったり、オウム事件があったり、と後から振り返ると、よく“ターニングポイント”と位置付けられる「1995年」だが、当時、青い春ど真ん中を生き抜いていた人間にとっては、そんな世相のゴタゴタとはかけ離れたところに、この年の日常は存在した。

“バブルはとっくにはじけた”と言われていたものの、当時社会人成りたての先輩方にはまだまだバブル期特有のお気楽さが満ち溢れていたし*1、そんな緩い空気の中で、将来のことに目を向ける余裕もなく、目の前のことに没頭するしかなかったのが当時の自分。

密度の濃い人間関係。財布の中にお金はなかったが、転がるように過ぎていってた日々には、甘さも苦さも酸っぱさもあった。

そして、昼夜構わず人が出入りしていた思い出の部屋では、ほぼ毎日「TK」ブランドの曲が流れ、週のうち何度かは“keep yourself alive”と“I BELIEVE”が無限リピートで流れていた。

当時の自分は、そこまで小室サウンドが好きではなかった(というより、むしろ嫌いだった。特に華原は。)から、CDの選択権を奪った日は徹底的にマイラバ3連発*2無限リピートで対抗する、という子供じみた抵抗を試みたりもしていたのだが、そんな時からはや20年。

小室ファミリーの曲はまだ分かるにしても、「ら・ら・ら」、「TOMORROW」に「LOVE LOVE LOVE」といった、当時ヒットチャートで張り合っていた楽曲を器用に歌いこなし、さらには、当時“対極”にあった敵方の「Hello,Again」を伸びやかに歌い上げているのを聞いてしまうと、“恩讐のなんたら・・・”という感じで、当時の感情を忘れて、ある種の感慨さえ抱いてしまう*3

一種の節目の年だったにもかかわらず、慌ただしさにかまけてほとんど振り返れずにいた年を、この年の瀬、追い込まれた時期になって、好きではなかったアーティストの一枚のアルバムで振り返ることになろうとは・・・*4


人生長く生きてきたおかげでこんな面白い経験ができた、ということに、今は感謝している。

*1:実際、その後の10年に比べれば、あの年の景気はまだまだ全然どうってことないレベルだった。

*2:デビューから立て続けに世に送り出された「Man & Woman/My Painting」、「白いカイト」、「Hello, Again〜昔からある場所〜」。今でもファーストアルバムに収められた曲は、イントロ1秒で全曲当てられる自信はある。

*3:アレンジには若干??というのもあるのだけれど、ボーカルが素晴らしい。ライブで、本人の生声で、同じレベルで歌っているのを聞いてしまったら確実に泣く。

*4:もちろん、華原朋美のCDを買ったのは生まれて初めてである。周りの3人に1人は彼女のCDを持っていた時代ですら、頑なに手に入れることを拒んでいたのに。

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