2016年10月17日のメモ

サッポロビールの酒税返還請求棄却

第三のビール」該当性をめぐって、国税不服審判所に持ち込まれていたサッポロビール国税当局の紛争は、結局請求棄却、という結論になってしまったとのこと。
相変わらず「結論を維持するためにある不服審判」の構図は変わっていないようだが、サッポロ側がこの後、裁判所にまで紛争を持ち込むかどうか、という点にはちょっとした興味もある。

もっとも、このニュースを伝える日経紙の記事は、既に今回の請求の帰趨を飛び越えて、「特異なビール系飲料の税体系」への批判に矛先を向けている。

「複雑な酒税が意図せず企業の市場行動をゆがませる、という課題を浮き彫りにしている」(日本経済新聞2016年10月15日付朝刊・第5面)

という古くて新しい問題。

自分はかれこれ四半世紀にわたるビール党で、特に深いコクを好むので、コンビニでもスーパーでも、「第三のビール」はもちろん、発泡酒にすら一切手を出したことはない*1
だから、「安いビール系飲料」がブームになって、コンビニの限られた棚をまがいもののビール系飲料が占拠する状況を苦々しく眺めていたし、昨今の税率統一の動きも大歓迎なのだけど、本物のビールの味と発泡酒の味の差もあまり気にしないような“多数派”の人々が、それを受け入れるのかどうか。

複雑な酒税の体系が企業の行動に影響を与えたのは事実だが、それに輪をかけたのは、消費者の鈍感な“舌”だ、ということも、我々は肝に銘じておく必要があるように思えてならない。

電通に東京労働局が立ち入り調査

10月8日付けの朝刊で、うつ病で投身自殺した新入社員が労災認定された、というニュースが報じられて以降、インターネットを中心に激しいバッシングが巻き起こっている“21世紀の電通事件”。

14日には、とうとう東京労働局がテレビカメラを引き連れて汐留の電通本社に立ち入り調査に入る、という晒し上げのフェーズに突入した。

亡くなった元社員に関して労働基準監督署が認定したうつ病発症直前の残業時間は「105時間/月」ということで、これを少ない、という人はさすがにいないだろうが、「メチャクチャ多い」と思うかどうかは、読者の方々が今置かれている環境に依拠するところが大きいだろう。

特に、土、日も出社を余儀なくされるような環境にいると、週末の労働時間だけで50〜60時間は平気で上積みされてしまうから、平日2〜3時間の残業をしているだけでも、月残業100時間は優に超えてしまう。

そういう環境が続けば、精神的にも肉体的にもキツイのは確かだが、だからといって、それで命を絶つことまで考えるか、と言えば、ほとんどの人はそうではない*2
逆に、ほぼ定時で帰れるような職場でも、日中の勤務時間帯に上司や周囲からプレッシャーをかけられ、強烈なストレスを受け続けることによって、自ら命を絶った(あるいはその寸前まで追いつめられてしまった)人も、自分は数多く知っている。

それゆえ、自分は「うつ病自殺」の問題を労働時間の大小だけで語るのは好まないし、一連の批判が労働時間の長さだけに向けられているように見えるのは、あまり感心しないのだけれど・・・。


一つだけ言えることは、今回の件は、入社1年未満の社員に対して、強いプレッシャーの下で過重な労働拘束をかけ続けた、という点で、会社にとっては如何とも弁解の余地がない事件だ、ということ。

そして、「広告代理店」という業界が今の仕事のやり方を変えない限り、仮に労働時間を労働基準法の法定時間内に収めたとしても、同じような悲劇がまた生まれかねない、ということも、心の中に留めておく必要がある。

これは会社側だけの問題でなく、クライアント側でも考えないといけないことなのかもしれない。

まだ経団連が仕切るのか?

どうせこうなるんだろうな、と思ってはいたけど、記事になると、やはりがっかりする。

経団連は2018年の学生の就職活動(入社は19年春)について、16年、17年の就活日程を踏襲する検討に入った。16、17年と同様に、企業説明会の解禁は大学3年生の3月、採用面接は4年生の6月を軸に検討を進める。」(日本経済新聞2016年10月16日付朝刊・第3面、強調筆者)

この時期が学生にとってフレンドリーなのかどうか、ということについては、これまで散々書いてきたのでここでは割愛するが、既に今年の時点で「日程」がかなり崩れてきている、という状況がある中で、経団連が仕切って会員企業と、それらの会社を志望する学生に窮屈な思いをさせることにどれほどの意味があるのか・・・ということを、ここでは強調しておきたい。

そして、相も変わらず、「3年生の間は学業に専念すべきだと主張する」大学人たちには、自分たちの講義の都合だけでなく、もう少し学生に寄り添って意見を発信した方が良いのではないか、と、猛省を求めたい気分である。

新・新潟県知事は革新系の星、なのか?

10月16日に投開票された新潟県知事選で、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な立場を鮮明にしていた米山隆一候補が、有力視されていた前・長岡市長、森民夫候補を破って当選を果たした。

電力系労組に慮った民進党の推薦こそ得られなかったものの、共産、自由、社民という3野党の推薦を受けての当選だけに、何となく革新系知事の誕生?という雰囲気もあるところなのだが、元々米山氏は、民主党に寝返った田中眞紀子・元外相の対抗馬として自民党から2度、さらに流れて日本維新の会から2度国政選挙に出馬した方である。

最近、新潟に足を運ぶ機会がなかったので、地元の評判等に直接接したわけではないのだが、たかだか10年の間に、出馬時のバックグラウンドも、原発に対するスタンスもこれだけコロコロ変わってしまうと、いろいろと批判する人は多いだろうな、と思わずにはいられないわけで・・・。

時流を読む、というのが政治家にとって非常に大事な資質の一つだ、ということは重々承知しつつ、機を見るに敏すぎる政治家に多くを期待過ぎるのはどうなのかな、ということも、ここで呟いておきたい。

ルヴァン杯浦和レッズが9年ぶりのタイトル獲得

浦和対G大阪の決勝対決となった、“最近までナビスコカップだった“ルヴァン・カップ”。

この対戦カード自体見慣れたものだったし、15日の優勝の報道に接したときは、憎ったらしいくらいの強さと観客動員を誇るレッズのこと、こんなカップ戦のタイトル一つでそんなに騒ぐなよ、と思っていたのだが、翌日の記事によると、何と公式戦のタイトル獲得は9年ぶり、ということである。

冷静に考えると、リーグ戦でもカップ戦でも、優勝争いには絡むけど最後の最後で勝ち切れない、ということを繰り返していた、ということなのだろう・・・。

だからといって、急にリーグ戦でも応援したくなるほど現金な主義ではないのだけれど、この大会で李忠成選手がMVPに輝いた、という点についてだけは、素直に拍手を送ってあげたいと思うところである。

「87回連続」で止まった中大の襷

箱根駅伝に今年の大会まで87回連続で出場していた中央大学が、予選会で10位の日大に44秒差離され、無念の敗退の憂き目を見ることになった。

山登りに藤原正和選手を擁して往路優勝を遂げた2001年以来、華やかな成績からは遠ざかっていたものの、2012年までは、伝統に恥じることなく一桁順位でシード権を確保していた名門校だっただけに、なぜ短期間でここまで転落してしまったのか不思議で仕方ないのだが、一度歯車が狂い始めると立て直すのは容易ではない*3、ということなのかもしれない。

前回の往路優勝時の立役者だった藤原正和氏が監督就任した1年目にこういう結果になってしまった、というのが皮肉と言えば皮肉なのだが、早々に敗退した分、次に向けたチーム作りに早く始動できる、というメリットを生かして、再来年の箱根では一気の大カムバックを期待したいものである。

*1:そんなところでちまちま金をケチるくらいなら、もっと違うところで節約しろ、というクチである。

*2:もちろん、自分も含めて、嬉々としてその状況を受け入れている人間などいるはずもなく、こんな会社辞めてやる、と心の中で叫びながら、閑散期にドカッと休みを突っ込む算段を立てている人がほとんどだと思うのだけれど。

*3:2013年の大会で5区の選手が棄権してシード落ちしたのが転落の始まりで、さらに往路10位で折り返し、復路も好調に順位を上げていた2015年に、10区の選手が大ブレーキを起こしてシード落ちしてしまったことが致命傷になってしまったようである。

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