2016年10月26日のメモ

月初めの頃は、まだまだ夏気分が抜けないな、と思っていたのに、あっという間に冷え込みがきつくなって冬の気配。
体調は管理するものじゃなくて、ありのまま付き合うもの、というのが自分の持論ではあるのだが、それでも、一年で一番業務負荷がキツくなるシーズンに、気候にまで揺さぶりをかけられてしまうと、だいぶ身構えてしまう。

TPP著作権、と言えばこの方。

TPP関連法案をめぐる与野党の議論がなかなか深まらないので・・・ということで、日経紙が「紙上参考人招致」という企画を行っている。

その中で、「農業」、「自動車」、「食・消費者」といったメジャーなカテゴリーと並んで取り上げられているのが「知的財産」で、登場するのはもちろん、福井健策弁護士である。

著作権の保護期間が50年から70年に延ばされることについてもっと議論があっていい。
著作権の保護期間が長くなれば処理が難しい著作物が増え、コンテンツの利活用には明らかにマイナスとなる。」
日本経済新聞2016年10月22日付朝刊・第4面、強調筆者、以下同じ。)

といったあたりは、すっかりおなじみになっているコメントで、読者の期待を裏切らない。

冒頭で「TPPに賛成する」という立場を明確にされているのは、“日本経済新聞”という媒体を強く意識してのことかな(あるいは記者の誘導?)、と思ったりもしたのだが、

「国会では様々なテーマを一括して審議するため、議論が全く深まっていない。米国の早期承認が危ぶまれるなか、日本だけが前のめりになって議論の機会を逃すのはもったいない気もする。」(同上)

と慎重審議を求めるスタンスも不動である。

個人的には、著作権一つとっても、保護期間以外に様々な論点があると思っているし、「知的財産」というテーマを掲げるのであれば、特許も商標も取り上げてナンボだろう、という気はするのだが、一般紙の記事にそこまで求めるのは酷だろう、と割り切ることにした。

「権利制限」、と言えばこの人たち

著作権つながりでもう一つ、日経紙の10月25日付朝刊(第38面)の片隅にひっそりと出ていたのが、「著作権制限に反対/新聞協会などが声明」という記事である。

10月24日付で公表された「『柔軟な権利制限規定』についての私たちの意見」という声明文*1はインターネット上でも見ることができるのだが、名を連ねている事業者団体の顔ぶれ*2といい、書かれている内容といい、いつか見たデジャブ、という感じで。

そもそも今は、批判の的になっている「柔軟な権利制限規定」が何なのか、ということもまだ定まっていない状況だし、その目的が「イノベーションを通じた新産業の創出」なのか?ということについては、推進派の中にも懐疑的な見方が多い状況だけに、仮定の上に仮定を重ねた批判、ということになってしまっているのだが、それでも年に一回くらいは声明を出しておかないと気が済まない、ということなのか。

いろいろと考えさせられることは多い。

興味深い「One Asia」の挑戦

海外法務、といえば、大抵、大手法律事務所の現地進出の記事ばかりが躍る日経紙だが、「大手の動きとは一線を画する」新しい試みが珍しく取り上げられた。

シンガポールやタイなど東南アジア諸国連合ASEAN)加盟国を拠点に活動している日本の弁護士らが連携し、11月に東京で法律事務所を開設する。現地の事情に精通した強みを生かし、日本企業のASEAN全域におけるM&A(合併・買収)など法務サービスの一括受託を狙う。」(日本経済新聞2016年10月22日付朝刊・第9面)

最近、ASEAN圏に進出している日本の大手事務所はだいぶ増えてきているが、元々国内で“上品”な仕事しかしていない事務所が現地にオフィスを開設したところで、現地に進出した企業が日常的に困っているあれこれにまで手が届くのか、という疑問はかねてから存在していた。

土地建物の賃貸借絡みの紛争や労働関係のトラブルの解決を日本国内で大手四大事務所に依頼するようなことは、合理的な会社ならまずしない。
海外も結局同じことで、小回りの利く事務所をどうやって捕まえるか、というのが、最近現地進出するようになった多くの会社にとっての課題になっていたのではないかと思う。

今回開設される弁護士法人と、そこを通じて連携する各国の法律事務所がどこまでそんなクライアントの切なるニーズを満たしてくれるのか、は分からないけど、「規模が小さい」というメリットを最大限生かして、有益かつリーズナブルなサービスを提供してくれる存在になってくれることを願っている。

狙われている「旅館業法」

「民泊」問題以来、すっかり狙われた感があるのが「旅館業法」である。
9月に審議を再開した規制改革会議でも、「抜本改正」に向けた検討を始める、という記事が10月24日付の日経朝刊に掲載された*3

確かに、昭和23年に制定された法律の中に「いつの時代だよ」と叫びたくなるような規制が長年残っていた、という事実は否定しようがないし、時代に合わせて“現代化”すること自体の意義を否定するつもりはないのだが、規制改革を行った効果として、

「室数を限定した『高級宿泊施設』の実現を念頭に置く。」
「原則として宿泊者の拒否を禁じる規制を改めれば『外国人専用』『女性専用』など多種多様な宿泊施設が実現する。」
日本経済新聞2016年10月24日付朝刊・第2面)

といったようなアドバルーンが打ち上げられてしまうと、何となく眉唾感も出てきてしまうわけで。

特に、旅館業法第5条が定める「宿泊拒否禁止」という原則は、施設側による宿泊者の選別を許さない、という点で、極めて重要な意義を持つ原則だと思うだけに、安易な議論に流されてくれるな、と思わずにはいられない。

サッカーU-19、5大会ぶりの快挙

長年、「アジアの壁」に阻まれてきたU-19世代が、10月24日、遂にワールドユースへの扉をこじ開けた。

タジキスタン相手に4-0、という結果だけを聞けば、組み合わせに恵まれたのか? とも思ってしまうが、グループリーグで中東勢相手に1位突破しての結果だから、堂々のベスト4入り、と言ってよいだろう。

前回ワールドユースに出場したのは2007年のカナダ大会だから、実に10年ぶりにこの世代が国際舞台に復帰する、ということになるし*4、先日のU-16のアジア選手権ベスト4と合わせて、若年世代の強化(復活)が順調に進んでいる、ということでここは純粋に喜んでおきたい。

そして、やれ「東京五輪世代」だ、と騒ぐ前に、まずは来年のワールドユースで、“小野伸司の時代”(気が付けばもう20年近くも前のことになる)を超える活躍を見せて、歴史を塗り替えてくれることを心の底から望んでいる。

スケートアメリカでの幸先良いスタート。

フィギュアスケートのGPシリーズ初戦のスケートアメリカアメリカGP)の男子シングルで、宇野昌磨選手が昨年のGPファイナルで出した自己ベストを更新し、幸先よく優勝を遂げた(10月23日)。
演技自体はほとんど見ていないのだが、4回転ジャンプ3本、という時代の波にもしっかりとついていけている、というのは心強い限り。

当初出場予定だった村上大介選手が欠場し、日本男子勢は宇野選手が一枚看板で戦う形になってしまったし、3選手が出場した女子は、チャレンジャーシリーズから這い上がってきた三原舞依選手が3位に入ったものの、浅田選手6位、村上選手10位、と少し心配な状況ではあるものの、シーズンが深まる頃には最強のメンバーが揃っていることを願うのみである。

ドラフト会議、外れ1位指名で5球団競合の罠。

日本シリーズ前(&社会人の日本選手権前)、というタイミングがすっかり定着してきた恒例のドラフト会議(20日)。
一番の目玉で、前日まで「史上最多の競合も」と散々騒がれていた創価大・田中正義投手に5球団しか1位指名をしてこなかったのも拍子抜けだったのだが、外れ1位で桜美林大の佐々木千隼投手に再び5球団競合、という話にも驚かされた。

同じ学生出身の本格化右腕で、今年の実績だけ見れば甲乙付けがたい(どちらかと言えば佐々木投手の方が上)という評価もあっただけに、田中、佐々木と立て続けにクジを外した球団としては臍をかむ思いだろうが、これも微妙な心理のアヤ、というべきか。

なお、タイガースが大物投手の競合を避けて、知名度は決して高くない白鴎大の大山悠輔選手を1位で取りに行ったことでブーイングも起きたらしいが、かのチームが今補強すべきは投手陣ではなく、明らかに(打てない)野手の方だからこれで良かったんじゃなかろうか*5
大山選手と5位の糸原健斗内野手が、北條選手あたりと熾烈なレギュラー争いをできるようになれば、今季全く援護に恵まれなかった投手陣も少しは楽にできるんじゃないかと。
あと、8位指名の藤谷投手(パナソニック)の素質開花にも期待、である。

平尾誠二氏逝去。

神戸製鋼のスター選手として日本ラグビー黄金期の看板を長く背負い、引退後も日本代表監督等で存在感を示していた平尾誠二氏が、20日、53歳の若さでこの世を去った。

自分は、他の例に漏れず、絶対王者的存在が大嫌いだったから、アンチ神鋼で、現役時代は“平尾”の名前を聞くにも顔を見るのも嫌い、という感じだったのだが*6ラグビーがすっかりマイナースポーツに成り下がってしまった今となっては、あれだけ憎ったらしいほどの存在感を発揮していた選手がいた、ということ自体が懐かしい。

個人的には、故人を礼賛する記事を眺めながら、1995年W杯ニュージーランド戦での出場回避とか(その結果の悪夢・・・)、1997年の日本代表監督就任後の迷走とかの記憶もおぼろげに蘇ってきて(何たって“アンチ”だったから)、あまりに偉大な選手だったゆえに、自らをアンタッチャブルな存在にしてしまった、それゆえに、その後の日本ラグビーそのものの長期低迷まで招いてしまった・・・というところにも触れてこその評伝だろう、という感想を抱いてしまったりもしたのだが、今は選手時代の功績を素直に称えて、故人を悼むのが先。

そして、2年後のW杯を何が何でも成功させなければいけない理由が、また一つ増えた。

*1:http://www.pressnet.or.jp/statement/2016.10.24.pdf

*2:一般社団法人日本映画製作者連盟、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本雑誌協会、一般社団法人日本書籍出版協会、一般社団法人日本新聞協会、一般社団法人日本民間放送連盟、一般社団法人日本レコード協会の7団体。

*3:規制改革推進会議での資料等は、http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20161024/agenda.html参照。

*4:もっとも2007年大会までは7大会連続で出場権を獲得していた、という事実も忘れてはならない。

*5:投手の場合、どんなに評価が高くても野手に比べて故障のリスクが高い、という現実があるし、去年の高山俊選手のように、???と言われても結果的には成功した、という例もある。育成が決して得意ではない球団だけに、即戦力野手を狙っていく、というのは悪い選択ではない。

*6:当時の贔屓は、大学は早稲田、社会人は三洋電機、といった感じだったか。社会人に関しては相手がどこだろうが神鋼が勝たなければそれでいい、という感じではあったのだが。