始まったのに使えない悲しさ

先週末、朝刊の1面を飾ったニュースを見て、自分の心は一気に沸き上がった。

シンガポールの配車サービス大手グラブは18日から同社の配車アプリを日本でも使えるようにする。日本交通系の配車アプリ大手ジャパンタクシー(東京・千代田)と連携し、ジャパンタクシー加盟の車を呼べるようにする。近年東南アジアからの訪日客は増えている。スムーズに移動できる手段が整えばさらなる訪日客の増加につながる可能性がある。」(日本経済新聞2019年11月16日付朝刊・第1面、強調筆者、以下同じ)

いつぞやかのエントリーでも書いたかもしれないが、自分は「ライドシェアアプリ」のヘビーユーザーである。

ムンバイの街中、日本人が安心して使えそうな公共交通機関が皆無でタクシーを捕まえても言葉が全く通じず途方に暮れていた時に「Uber」の快適さに気付いて以降、海外に出かけるたびに「Uber」と「Grab」を交互に使っているような状況だったし、これらのアプリでが使えない、あるいは車を捕まえにくい都市では、Careem(主に中東)を入れてみたり、地元企業のアプリを入れてみたり、と、とにかく使い倒してきた。

今の日本がそうであるように、「ライドシェア」といっても、本当の意味でのライドシェア(ドライバーが個人で運送を請け負うタイプ)ができる国は決して多くなく、特に「Uber」以外のアプリは、地場のタクシー会社と提携して配車するタイプの方がむしろ一般的だったりもする*1

ただ、いずれにせよ、目的地の地名を現地語ではっきり発音できなくても、アプリ上で指定すればほぼ間違いなくそこに行くことができ、到着するまでの行程もアプリ上で追える、お金のやり取りをする必要も(煩わしいチップを要求される可能性も含めて)ほとんどない*2、という安心感*3は絶大で、普通にタクシーを捕まえると、まず確実にひどい目に合う国(クアラルンプールなどは典型だし、先進国でも時々遠回りしてぼったくってくるドライバーはいるので、あらかじめ値段が決まっているアプリは、その意味でも楽である)では欠かせないツールになっていた。

翻って日本はどうかといえば、「Uber」と言えば「出前」か「高級タクシー」。

日本交通のアプリもあるが、対応している台数がさほど多いわけではないので、都会の街中なら流しのタクシーを拾った方が早い。だから、自分が使ったのは、「タクシーをアプリで呼ぶことが習慣化していた」数年前くらいまでで、それも、流しのタクシーを捕まえにくい郊外でちょっと使う程度だった。

そもそも、日本交通のアプリの機能は、タクシーを「呼ぶ」だけで、行先の指定もできなければ、運賃が事前にわかるわけでもない。

だから外国人観光客も、わざわざこれをダウンロードして使うことはないだろうなぁ・・・という代物だった。

それがいきなり「Grab」アプリ上陸!である。

記事はあたかも、東南アジアからやってくる訪日客だけがターゲットのような書き方になっているが、自分に限らず、東南アジア方面に出張や旅行に行く機会が多い日本人の端末にはそれなりの割合で「Grab」アプリが入っているはずだし、いろんな国で稼いできたポイントだって溜まっている*4

何より、日本交通のこれまでのアプリに比べれば使い勝手がはるかに良いアプリだから、呼んで来るのは同じタクシーでも満足度はかなり高いはず!ということで、この記事を読んでから、サービスインの日(記事では18日になっていたが、実際には19日だったようである)までの数日間、胸を高鳴らせていた。

それなのに・・・


19日以降、「サービス対象地域外です」という表示は消えたものの、サービスが使える状況にはなっていない。

最大の理由は、ネット決済オンリーで、クレジットカードの登録が必要、という仕様になっているにもかかわらず、手持ちのカードがことごとく”... cards are not supported " と登録を拒まれてしまうことにある。

海外でも時々起きる現象ではあるのだが(Grabの場合、Uberと違って国ごとに微妙にレギュレーション対応を使い分けているようで、ある国では、その国の国内発行カードでないと登録できない、という仕様になっていたこともあった)、自分の国で、自国発行カードを登録できない、というのは何なんだ・・・という話。

東京に住んでいる日本人なら、ムンバイの街中のような苦労を味わうことはないし、マニラやスカルノハッタの空港のように執拗にタクシーの客引きを受けることもない。

そもそも今みたいな健全な生活をしている限り、タクシーを使わないといけなくなるような機会も少ない。

ただ、やっぱり、使えるはずのものが使えないのはちょっとどうかな、ということで、グダグダとエントリーを書き連ねた次第。

問題を解決する有益な情報があれば、お知らせいただければ幸いである。

*1:個人、タクシー会社のいずれかを選択できるタイプのサービスをしている国もあるが、少々値段が高くても、車が捕まりやすく、確実に目的地に行けるのはタクシー会社提携の方だったりもするので、自分はそちらを愛用していた(下手に個人ドライバーを使うと、「トラブルになるリスクがあるから」と言って、空港の裏口で降ろされたりすることもあるし・・・)。

*2:国によってはカードが登録できずに、現地通貨での決済を余儀なくされる場合があるし、表示されている金額にプラスアルファで料金を要求されることもあったりするのだが・・・。

*3:もちろん、中東の某都市ではこちらが指定していたにもかかわらず、勝手に行き先を変更されたりしたこともあったが・・・。

*4:GrabやUberの良いところは、どこの国に行っても一つのアプリで同じようなサービスを受けられるところだと思っている。これに対し、日本のアプリは、現地のサービスに直結していないことがほとんどで、東南アジアに浸透している、と言われるLINEも、現地で現地仕様のアプリをダウンロードしないと、現地のサービスを享受できない状況になっているのがなんとも・・・である。

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