そして穏やかに時は過ぎ、馬は走る。

この週末も、朝起きて、Alexaにラジオを付けてもらい、いつもと変わらない実況の音声が流れてきたのを聞いてほっとする。そんな2日間だった。

世界中が”戦闘モード”に突入してしまったような雰囲気になっても、中山、阪神、中京では、何も変わらずに12レースが行われ、土日で5つの重賞レース*1、そして、トライアルを経てクラシックに挑む馬たちが次々と名乗りを挙げる、というカレンダー通りの進行。

土曜日には季節外れの雪が降り、日曜日も湿っぽさが残る馬場。それを生かして、泥んこ大好きなルーラーシップハービンジャーエピファネイアあたりの子供たちが躍動したり、デビュー戦を勝利で飾った泉谷騎手が2日で3勝、特別戦まで勝ってしまったり。

同じことは二度と起きないが、全ての出来事は予定調和的にそれまでの記憶の延長線上に位置づけられ、やがて歴史の中に綴じ込まれていくのだろうな、と思える。それが実に穏やかで心地よい。


当然、この世界でも”異変”は起こっていて、相変わらず各開催競馬場のスタンドの人影は皆無だし*2、月末のドバイ国際レースに騎乗予定のルメール騎手が、来週の3日連続開催を前にいち早く現地渡航を決める*3、というまぁまぁインパクトのあるニュースもあった*4

それでも、自分に限った話としては、もう数十年変わらないルーティンを繰り返せている、ということに変わりはなく、それに勝るものもないわけで、「どこにも行けない」等々のフラストレーションがあふれている(らしい)世の中*5では数少ない幸福感を味わえるこのライフワークには、ただただ感謝するほかない。

もちろん、「絶対にこれだけは」と思われていた五輪の年内開催が、もはや風前の灯になっていることからも明らかなように、今は一寸先で何が起きるか分からない状況でもある。

騎手、調教師、厩舎関係者等々に感染者が出たら・・・という話はもちろんあるし、何かのはずみで人→馬感染でも起きようものなら、それこそかつて中央競馬を2か月にわたって開催中止に追い込んだ「馬インフルエンザ*6の悲劇の再来にもなりかねない。

そして、楽しみにしているドバイのレースだって、これから2週間のうちにどうなるか分からない、というのが今の世界のスピード感だったりするから、最後は祈るほかないのだけれど・・・。

できることなら来週末も同じようにめぐってきてほしい、そして穏やかな気持ちで迎えたい。

今はただ、それだけである。

*1:一番インパクトがあったのが、久々に障害戦に戻ってきたオジュウチョウサンの呆れるくらいの圧勝劇(後続に9馬身差、しかも阪神障害芝3900mのレコードを19年ぶりに更新)だった、というのは置いとくとして。

*2:それでも、WINSをすべて閉めても、前年比8割強の売上を記録し続けているのだから大したものだ、というほかないが。

*3:C.ルメール騎手が海外渡航 JRA なお同じ行程で今日500勝を挙げた古川吉洋騎手も渡航する予定となっている。

*4:それに備えて、というべきか、今週は日曜日の4騎乗機会連続勝利など2日で6勝の固め打ち。川田騎手との差をしっかり縮めておく、というところがこれまたさすがではある。

*5:自分に言わせれば、別に外出自体が禁止されているわけでもないし、ありふれた観光地、遊園地をはじめ、全体的に出かける人々が少なくなったところで狙えるところはいくらでもあるから、単なる工夫の問題だろうという気はしている(人工的な娯楽に慣らされた人々が多くなりすぎたせいなのかもしれないが)。ということで、「緊急事態宣言」で足止めを食らわない限りは、次の三連休も、そんなコンセプトで家族でちょっと遠出するつもりである。

*6:馬インフルエンザ(競馬用語辞典) JRA参照

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