日本人最多勝騎手の矜持。

いよいよ終幕に向けてラストスパート、という感じになってきた中央競馬

土曜日も中山メインのターコイズSが、いつになく渋いメンバー揃いで、売上も対前年比∔5.5%。

今月に入ってからも、週を追うごとに伸び続ける売上は一向に衰える気配なし、である。

で、そんな中迎えたのが2歳牡馬の頂点を決する伝統の一戦(といっても、ここ数年は来週のホープフルSの方が存在感を増してきている感はあるが・・・)、朝日杯フューチュリティステークス

全勝対決だった2歳牝馬女王決定戦とは異なり、こちらは本命視されたレッドベルオーブがデビュー戦で敗れていた。

とはいえ、この馬は、中京の未勝利戦に、阪神デイリー杯2歳Sと、二場連続でレコードタイム更新という驚愕の走りを見せたディープインパクト産駒。

またデビューから連勝中の馬、ということで言えば、2番人気のステラヴェローチェに、ドゥラモンド、ブルースピリットと、味のある伏兵たちも揃っており、再びの来春の「無敗」戴冠に可能性がつながる余地は残っていた。

これらの馬がきれいに内寄りの3枠、4枠に収まったのも何かの符合だろう、ということで、自分は外枠の有力視された馬たちには目もくれず、この4頭で綺麗に買い目をまとめて、安心しきっていたのであるが・・・

蓋を開けてみれば、逃げたモントライゼこそ失速したものの、先行有利の今の阪神の傾向そのままに、前に行った馬がことごとく健闘する展開に。

そしていつにも増してハイペースな展開の中、2番手追走から直線堂々と先頭に立ったFrankel産駒・グレナディアガーズが、レースレコードはもちろんレッドベルオーブが作ったばかりの2歳コースレコードまで塗り替える驚異的なタイム*1で優勝を飾った。

ステラヴェローチェは、決して有利ではない展開の中で良く追い込んだものの2着まで、レッドベルオーブは3着。

既に2度の黒星を喫していた馬が勝利を収めたことで、このレースから「無敗の三冠馬」が出る可能性はなくなったが、今の日本競馬のレベルを象徴するような実に見応えのあるレースだったのは間違いない。

そして、鞍上の川田将雅騎手は、残り2週のタイミングで遂に今季逃し続けていたGⅠ勝利を手に入れて、7年連続GⅠ勝利、というこれまた偉業を達成。

最近では「1番人気で勝てない」等々、辛辣な評価を浴びることが多く、後輩の松山弘平騎手の躍進もあって何となく影が薄くなっている川田騎手だが、冷静に見れば、目下勢いに乗る35歳。今年も堅実に165勝を挙げていて勝率ではルメール騎手を上回る28.2%のハイアベレージだから、まだまだ衰えを見せている、というような状況ではない。

これで9勝目となった今年の重賞勝利を、ブラストワンピースから、アウィルアウェイ、ダノンスマッシュ、リアアメリア、グローリーヴェイズ、クリンチャー、ダノンザキッド、レイパパレ、そして今日のグレナディアガーズに至るまで全て異なる馬で勝っている、ということは、傑出した馬に乗れていなかった今季の苦境を象徴しているともいえるが、裏返せばそのような状況でもきっちり勝利を手にすることができる彼の実力の証ともいえる。

「7年連続」をいち早く叶えてくれるはずだったクリソベリルで敗れ、ダノンスマッシュをスプリンターズSで2着に導きながら、先週の香港でGⅠ勝利を飾った時には自分の手を離れていた*2、という悲劇も味わった。

それだけに、今週、あと1週を残して7番人気の伏兵馬でGⅠタイトルを奪い取った意味は大きいし、これで元々「本命」視されていた次の週末のホープフルSでも、現時点で2戦2勝のダノンザキッドをいいところに持ってこれるのではないか、という期待が増してくる。

さすがにオーソリティ有馬記念まで・・・ということになると、さすがに欲張りすぎかもしれないが、今年もルメール騎手と途中まで唯一互角のリーディング争いを繰り広げた日本人騎手として、最後の最後に爆発力を発揮してくれることを願うばかりである。

*1:この日の勝ちタイム、1分32秒3は、同じくハイペースの展開だった3勝クラスのレースの勝ちタイムより早い、驚異的なレコードタイムだった。

*2:これについては自主隔離の問題もあるので、やむを得ないといえばそれまでだが・・・。

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