ようやくの脱・マイナンバーの兆し。

毎年、手を煩わされていた雑事からようやく解放される予感がする。

政府は個人事業主を登録・識別する番号制度をつくる。補助金の支給や社会保険、税務などの手続きを一元管理できる仕組みを検討する。日本は新型コロナウイルス禍で家計への給付金支給が混乱するなどアナログな行政の限界に直面した。公的支援から漏れがちなフリーランスのような多様な働き方にも対応した新たな番号制度で行政のデジタル化や効率化を急ぐ。」(日本経済新聞2021年4月6日付朝刊・第1面)

時世を反映して公的支援云々の話が前面に出ているが、ここで大事なのは、とにかく扱いが厄介な「マイナンバー」に代わって、個人事業主向けに堂々と公開できる識別番号が付与される、ということだろう。

自分の場合、仕事がほぼ100%”to B"なので、報酬をいただく場合も、ほぼ例外なく「源泉徴収あり」ということになる。

したがって、この1,2年は、年末に差し掛かる頃になると、新しくお取引をさせていただいたクライアントから、丁重に「マイナンバー提供のお願い」が送付されてきて、マイナカード両面コピーして、台紙に張って、合わせて本人確認書類を・・・みたいな手続に労力を割かざるをえなかった。

最初の1社や2社くらいまでは、まだ新鮮な気持ちで対応できていたからよかったのだが、数が増えるにつれ、その作業もだんだん負担感が重くなる。一度きりの手続き、されど、その「一度」も忙しい時期に重なってしまうとなかなか・・・。

そもそも、いくら「個人」事業主だとはいえ、こちらは逃げも隠れもせず、オフィシャルに仕事をしている立場なのだから、本来なら「法人番号」と同様に、公開されている番号を勝手に検索してもらって、転記していただければ十分なはず。

にもかかわらず、提供する方も、受け取る方も*1、必要以上の手間をかけないといけない今の仕組みを何とかできないものか・・・と思っていた矢先に出てきた話だけに、まぁ非常にありがたいな、というのが記事を見た時の印象だったし、よりオープンに使える仕組みにしてほしい、というのが、率直な思いである。


なお、元を糺せば、あまりに過敏すぎた「マイナンバー」導入時の”世論”が、法律上の取扱いや、それに紐づくマイナのシステムを非常に使い勝手の悪いものにしている、という現実があって、初めてスマホから電子申告した時も、「一体何度カードをかざせばゴールにたどり着けるのか!」と思うくらいシステム間をループさせられ、非常にイライラさせられたものだった*2

ダイバーシティ」が提唱されて久しい時代だから、「プライバシー」というものを極限まで重んじる方々を悪く言うつもりはないし、そういう方々を「守る」仕組みはあっても良いと思うのだが、問題はそれによって、利便性・効率性を重視したいという層が常にある種の”犠牲”になっている、ということにもっと目を向けてほしいものだ、と思わずにはいられない*3

そして、少なくともカネの動きに関しては、何ら隠すものも、恥じるものもない身としては、「オプトイン」で良いので、各種金融系の口座の出入りを一元管理してもらった上で、納税フェーズでのあれこれの差し引きまで全部一気通貫でやってもらえるような、そんな仕組みがあっても良いのではないか、と思うし、給付支援云々以上に、様々なものを透明にすることによる公平性の確保と、余計な社会的コストを減らす、ということの方が、ずっと大きな意義を持っているはずだ、と思った次第である。

*1:この件に関しては、受け取る側の対応も間近に見ていたので、担当者のご苦労も非常によくわかる。

*2:届いた通知を見るにも、これまたいちいち面倒で・・・。

*3:これは特定個人情報に限らず、「個人情報」の取扱い全般に関わる話でもあるのだが、それはまた日を改めて、ということにしたい。

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