異常事態。

夏の暑さがおかしい・・・というのは今年に始まったことではない。
最近は一年も経つと曖昧になってしまうが、自分の記憶が正しければ、昨年の今頃だって十分暑かった、はずだ。

ただ、今年、街中を歩いていて思うのは、肌で感じる空気の違いである。

真夏のスコール到来にはまだちょっと早い、梅雨が明けるかどうかくらいの時期なのに、まとわりつく空気の重さときたら・・・。
加えて、時折空から落ちてくる「雨」というよりミストのような水滴、それが去った後に周囲に立ち込める”水”の香り。
これって10年前に初めて訪れた東南アジアの国で体験した”異国の感覚”そのままだったりもする。

だから、去年までは土砂降りの雨に見舞われた時を除けばまだちょっとだけ言い訳できた「いくら暑いと言ってもここは日本。亜熱帯・熱帯の国とは違う。」という慰めは、今年の夏に関してはどうにもこうにも通用しそうにないなぁ・・・というのが、まだ7月半ばにしてのあきらめモードの感想。

コロナ禍に突入する前は、わざわざ「暑」を求めて東南アジアやらインドやらに出かけていくようなことまでしていたのが自分という人間だから*1、これだけなら「世界がまた一段と近くなったなぁ」と皮肉って楽しむこともできる。


だが、残念ながら、今年の夏のもう一つの「異変」が、暑さからの逃げ場をなくした。

オーバーツーリズム

おそらく、今年これから何度となくこの国で繰り返される言葉になるだろうが、今年の夏季シーズンはとにかくこれがひどい。

航空券はまだかろうじて予約できるものの、お盆前後のピーク期間でもないのに良い時間帯の便は軒並み「空席待ち」。
そして何よりも、馴染みのある宿泊施設がほぼ満室になっていて、たまにOTAのサイトに出てくる空き部屋の価格もあり得ない値付けになっている・・・。

かくして、毎夏恒例だった北の地での”避暑”兼”知的刺激”の営みも、今年はもはや風前の灯。

この3年ほどの間は、どんなハイシーズンでも直前の予約でそこそこリーズナブルな宿が押さえられたから・・・ということで、完全に油断していたことは否定しないのだが、それにしてもまだ1か月以上前のタイミングである。

これまでの何年間分かの需要が一気に押し寄せたような今の事態を果たしてどう形容すればよいのだろうか・・・。


現地に行かなくてもZOOMで何とか代替できる時代。自分の用事はそれで事足りると言えば足りる。

ただ、何年か越しに家族で旅に出ようと思い立ったのに、高い航空券と高い宿泊費、そして人込みに埋め尽くされて四苦八苦・・・という経験をした人々が、再び積極的に旅に出ようと思う日がそう簡単にめぐってくると思ってはいけない。

一過性の需要増に加えて、慢性的な施設側の供給不足と行き過ぎたダイナミックプライシング。

”良い経験”を妨げる要素が複合的に絡み合っているだけに、いやな経験をしたくなければ今年は見送れ・・・という話なのだと思うのだが、それが繰り返された先に深刻な業界の構造的不況が待ち構えていることは避けられないだけに、せめて今夏のうちに、部屋を抱え込んでいる旅行代理店に早めに在庫をリリースさせてでも、需給を健全なレベルに落ち着かせる、というのがあるべき姿ではないかと。

そして、自分はそんな英断に期待しつつ、もう2週ほど、今月ギリギリまで引っ張って、最後のジャッジメントをしようと思っているところである。

*1:とはいえ、最初に行ったベトナムを除けば一番暑い季節は仕事でもプライベートでも極力外すようにはしていた。

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