世の中のありとあらゆるものが値上がりし、30数年ぶりのバブル到来か!というムードになっているこの日本。
そして、決して景気が芳しくなかったここ数年でも右肩上がりの成長を続けてきたサラブレッド市場は、今年も大いにはじけた。
良血馬が名を連ねることで知られるセレクトセール、今年の売上金は前年比9.2%増の281億4500万円。
ちょっとした上場企業の年間売り上げを丸ごと超えてしまうような金額がたった2日で飛び交う。
そして、これまたすごいのは、この金額がごく限られた人数の馬主たちによって拠出されている、ということである。
以下、初日と2日目の高額落札馬の一覧が掲載されているが、ここに出てくる落札者の名前と言えば、ダノックス、TNレーシング、金子真人HD、そしてここ数年すっかり常連になった藤田晋氏、といった鉄板の方々ばかり。
dir.netkeiba.com
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特に初日の1歳馬で2億円超の馬を3頭競り落とし、さらに翌日、3億3000万円のピクシーホロウの2023を筆頭に、より一回り高価格帯の馬を落札した藤田氏の財力には心底敬服するほかない*1。
もちろん、全馬のリストを見れば、数千万円台*2でつつましやかに落札した個人馬主もいれば、買い手が付かずに「主取り」となった馬もいることは分かる。
さらに言えば、これまで高額で落札された馬の多くがその対価にふさわしい実績を上げていない、という現実もある。
だがそれでも、瞬間的に費消されるつかの間の「夢」に、これだけ多くの札束が飛び交う世界がまだ残っている、ということに、この国の未来への微かな希望を感じる、というと言い過ぎだろうか・・・。
なお、2日目の終わった後、メディアを賑わせたのは、今年の最高額、5億2000万円で落札されたコントレイル産駒(母・コンヴィクションⅡ)をめぐる↓のようなエピソードだった。
元々セリに生産馬を出す側ではあっても買う側で存在感を見せることは少ないノースヒルズ&前田幸治代表の乾坤一擲。
三冠馬誕生に貢献した元・名騎手へのこの気遣いが更なる美談を生むか、それとも・・・ということは神のみぞ知る、だけれど、まず何よりも大事なのは、2年後、この馬が無事ならターフに姿を現してくるくらいの季節に「競馬」というものが無事行われていること。
その時、この日のエピソードが語られているかどうかは分からないけれど*3、2年後の夏へ祈りを込めて、待ちたい。