気候区分の変化を感じさせる肌感覚。

一昨日、昨今の「東京オリンピックをこんな暑い東京でやって大丈夫なのか?」というネタに反応したエントリーを書いたら、思いのほかリアクションがあったのだが、そういえば、と思い当たることがあって・・・。

ここ数年に比べると短い今年の夏だが、今週は夕方になってから激しい雨に祟られる日々が続き、木曜日は夕方の雨こそなかったものの朝からまとわりつくような湿気。

ちょっと前までは、この季節に急に振り出す雨のことをみんな「ゲリラ豪雨」と呼んでいて、遡るとこのブログにも、2008年くらいに流行り始めた言葉なんだろうな、ということを彷彿させるエントリーが残っているのだが*1、最近は、そんな言葉すら聞かないくらい、夕方の豪雨は当たり前の夏の風物詩になった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

で、今週に入って何日かこの感覚を味わっているうちに思い出したのが、初めて東南アジアの地に足を踏み入れた夏のこと。

ホーチミンは、道を埋め尽くすバイクの波に気おされてしまうような活気にあふれた街だったが、滞在中は常に雨が降った。
それも、半端ではないレベルの・・・。

その時知ったのは、土砂降りの中、それでも傘を差して道を歩く、というのが決して世界の一般的なプラクティスではない、ということ*2
そして、これが本当の「スコール」ってやつなのか・・・ということだった。

突然の雨が降り出す前の、何とも形容しがたい感覚とともに刻まれた記憶。

その後数年のうちに、クアラルンプールでも、ムンバイでも同じような経験をして、だんだん慣れてしまったところはあるのだけれど、それでも当時は、”日本では味わえない”感覚だったのは間違いなくって、「ゲリラ豪雨、と言っても、本物のスコールに比べたらね・・・」と思っていたところはあったのだが、あれから6年くらい経って、なぜか、日本の、それも東京のど真ん中で味わっている不思議なデジャブ・・・

自分は忘れっぽい人間だから、毎年同じように繰り返される夏の一日一日の「肌感覚」を数年前まで遡って正確に思い出す、なんてことは到底できない。
だから、自分のブログに10年以上前から残されている「暑い!」という叫びが、今感じているそれと同じなのか違うのか、ということも、公式記録として残っている気温とか湿度で比べて推し量るしかないし(そして、それだけ見ても、ここ数年の間だけでそんなに大きな変化が出ている、とまでは言えない)、世の中の多くの人がおそらく同じような感覚で、「暑いのは今に始まったことではない」と感じているのではないかと思う。

ただ、国境を超えて味わった、極めて主観的な「肌感覚」を物差しに今と昔を比べると、五輪誘致に向けて関係者が奔走していた5~6年くらい前の東京と今の東京とでは、やっぱり気候がさらに一段異質な変化を遂げているような気がして・・・。

もちろん、だからといって、招致活動当時に夏の東京を”mild weather”と表現することが妥当だった、というつもりはないし、「肌感覚」のレベルで気候が変わっていたとしてそれが何なんだ!という突っ込みはあるのかもしれないけど*31年後、更にスケールアップした「本物のスコール」が、「酷暑」以上に競技日程に影響を与え、関係者やボランティア、観戦者を撹乱する可能性は十分にあること、そして、そろそろ真面目な東京人も「雨が降ろうが、風が吹こうが・・・」的な発想から、南国熱帯の人々に倣って頭を切り替えた方がいいんじゃないか、ということは、今のうちに書き残しておくことにしたい*4

Squall

Squall

ちなみに、自分の中で「スコール」といえば、永遠にこの曲である。
福山雅治バージョンも嫌いではないが、やっぱりこっちかな、と)

*1:ちなみに、「ゲリラ豪雨」は、この年の流行語大賞トップ10にも選ばれていたようだ(歳末の風物詩 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~参照。10年以上前の「流行語」なんて、もはや博物館に飾られるレベルの”古語”なのだけど、他のフレーズに比べればまだ生き残っている方なのかもしれない)。

*2:雨が降り始めたら誰もが足を止め、商店の軒先やビルの中にたむろして、ムンムンした熱気の中、誰彼となく雨が止むまでひたすらおしゃべりに興じる、という光景は当時かなり新鮮だった。

*3:時代に合わせてオフィス環境も空調も進化するから、多くの勤労者には関係ない話、と言えばそれまでである。

*4:これも人間の性なのか、「ノストラダムス」的な「絶対にありえないだろう」という類の予言は皆躊躇せず口にするのに、ちょっとした(でも結構インパクトのある)身近な変化は、誰か偉い人(?)が明確に宣言するまでは積極的に認めようとはしない、という傾向があるような気がして。もう日本は「温暖湿潤気候」じゃないんだよ、という事実すら、オフィシャルには誰もまだ認めていないんだよな・・・と。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html