○○年ぶり、の数字に感じた衝撃。

丸々一週間くらい続いた深夜のTVer生活。

PCで作業をしながらほんの僅かな視線の移動だけで臨場感ある映像を楽しめる。
そんな便利さを最大限享受できたのが今年のブダペスト世界陸上だった。

五輪前年の開催、ということで、世界中の有力選手たちが「勝負」まで意識して調整してきていることを随所に感じさせられた大会だっただけに、日本選手たちが残した爪痕にも大きな意義が感じられたのは自分だけではあるまい。

これまで、日本人がその場に立つなんて想像でもできなかった種目の決勝に日の丸をつけた選手が残っていて、その種目の「ファイナリスト」として応援することができる幸福は何物にも代えがたいものがあった。

そして、開催中の夏の甲子園107年ぶり、という途方もない数字が出たことに刺激されたわけでもなかろうが、今大会は「○○年ぶり」というフレーズが躍る機会も多かった気がする。

まず、男子400mで佐藤拳太郎選手が「32年ぶり」高野進選手の日本記録を更新。

さらに大会最終盤に入って、女子やり投げの北口榛花選手が日本女子選手としては女子マラソン鈴木博美選手以来「26年ぶり」の優勝という快挙を成し遂げ、翌日、女子5000mの田中希実選手も同種目では弘山晴美選手以来、これまた「26年ぶり」の入賞を果たす、ということで、まさに”久々”祭りともいえる状況だった。

幸か不幸か、四半世紀∔1年、という数字だけ見ればすごく久方ぶりに見える26年前の世界陸上も、自分にとってはそこまで昔の出来事ではない。

アトランタ五輪の年、トラックから転向初戦の大阪国際女子で2位という好成績を収めながらもマラソンでは代表落選、そこから再度トラックに挑戦して10000mでの五輪出場切符をもぎ取った天才・鈴木博美選手を同郷の誼で自分は長らく応援していたから、1997年のアテネ世界陸上の女子マラソンでの彼女の快走も、最初から最後までテレビの前で必死に応援しながら眺めたものだった*1

また、同じ大会の5000mで入賞した弘山晴美選手は、鈴木博美選手と全くの同世代ながらその後も長く第一線で活躍した選手だったから、「26年ぶり」と言われてもなおさらピンとこないし、「日本最古」と繰り返し連呼された「32年前」ですら自分の記憶には鮮明に残っている

何といっても、日本記録を更新した直後の世界陸上、初めての地元東京開催で決勝まで進み、日本中を虜にしたのが前日本記録保持者の高野進氏だったのだから・・・。


日々進化し続ける技術は、20年前、30年前の記録をいつまでもレコードブックに載せてはおかない。

今大会でもまだ塗り替えられなかったフローレンス・ジョイナー選手の”不滅”の世界記録ですら、塗り替えられる日はきっとくる。

ただ、「記録」でも「勝利」でも「順位」でも、塗り替えられる瞬間、”前”記録保持者の名前が一瞬出て消える、それが、それなりに長く生きてきたつもりの自分には何とも言えない瞬間になるわけで、様々なことを思い出させてくれた今年の日本選手団にはただただ感謝あるのみ、である。

*1:残念ながら主要な国際マラソンレースでの彼女の勝利は後にも先にもこれだけで、マラソンで五輪に出て優勝、というファンの夢は3年後儚く消えた。

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