法学教室2005年12月号

今日は、全国の国立大学で法科大学院の入試が行われたようである。
上位国立であれば、
「母校に残れるか、戻れるか」が大きな意味をもってくるところだと思われ*1
特に在学生にとっては、
それまで机を並べてきた“仲間”と“袂を分かたなければならない”
可能性が出てくることを考えると、少し気の毒な気もする*2


さて、今月号の法教。

法学教室 12月号 [雑誌]

法学教室 12月号 [雑誌]


引き続き、佐藤弁護士(東大客員教授)の連載が面白い*3


今回は、「尋問技術」の重要性、
それも、証人に対して「どう聞くか」という技術がいかに重要であるか、
ということを相当念入りに説かれている*4


パソコンを利用した尋問事項書の作成テクニックのくだりや*5
「注意則」について述べられたくだり*6など、
民事事件にも応用が利く、という点でいろいろと参考になるところも多い。


民事訴訟では、証人尋問の比重が、刑事事件ほど重くないとはいえ、
重要な事件では、会社側証人に対して主尋問のアンチョコと、
反対尋問の想定問答を準備し、数度にわたるリハーサルを経て
本番に臨むことが多い*7


だが、本稿で述べられているほど徹底して尋問に備えているか、と問われれば、
まったく自信はない。
代理人の側でも、そこまで尋問に重きを置かないことが普通であるし、
担当者の側も、“訴訟慣れ”してしまうと、
どうしても、1件1件に注ぐ情熱が薄れがちになる。


それゆえ、“プロフェッショナル”の仕事の真髄を見ることができる
本稿に触れると、身が引き締まる思いがするのである*8


その他、最近の事例を素材にした論稿として、興味深かった記事は、
判例分析民法*9、「新判例から見た刑法」*10あたりか。


特に山口教授の記事は、
騒音おばさん」がちゃんと刑法の論点になりうることが分かっただけでも、
意義がある(笑)。

*1:「残れなかった」ことが結果としてプラスになることも大いにありうるだろうが、それ以前の問題として、精神的にあと数ヶ月をどういう気持ちで過ごせるか、が変わってくるだろう・・・。

*2:一事が万事、「塞翁が馬」ということわざはあてはまるし、気の持ちよう次第ではあると思うのだが。

*3:佐藤博史「公判弁護の技術と倫理(3)」法教303号97頁(2005年)

*4:山室元判事(現・東大教授)の『刑事尋問技術』を批判するあたりの舌鋒の鋭さも相当のものである(『刑事尋問技術』は、残念ながら尋問技術について書かれた書物ではない」とまで言い切る。佐藤・前掲100頁)。

*5:佐藤・前掲102-104頁

*6:佐藤・前掲104-109頁

*7:項目が100項目以上にわたることも稀ではない。なので、企業が被告になった事件で、原告側の代理人がどんなに頑張っても、尋問から(原告にとって)有意義な回答を引き出すことは難しい。

*8:この先生の講義の評判や他の実務家の方の評価を聞いてみたいものであるが、残念ながら自分にそのような機会が訪れることは、あまり期待できない。

*9:中田邦博「利息制限法と貸金業規制法43条(みなし弁済規定)をめぐって(下)」法教303号72頁(2005年)

*10:山口厚「傷害の意義」法教303号91頁(2005年)

2匹目のドジョウはいなかった。

第25回ジャパンカップ
先週の時点では「日本馬に出る幕はないかも」と思っていたのだが、
外国馬も強調するには今一歩、という状況で、
結局本線で残したのは、
ウィジャボード、⑧ゼンノロブロイ、⑩ヘヴンリーロマンス
アルカセット、⑯ハーツクライ、あたりまで。


展開的にも、速い流れになるのは見えていたので、
そうそう番狂わせは起らないだろう、と読んでいたのだが、
実際そのとおりの極めて“順当”な結果となった*1


勝ちタイム2分22秒1。
ついにホーリックスの時代が終わったかと思うと、感慨深い*2


もっとも、ヘヴンリーロマンスウィジャボード牝馬2頭は誤算。
ウィジャボードに関して言えば、外国馬だけにあきらめも付くが、
ヘヴンリーに関しては、「前走は展開の綾だけではない」、
と思っていただけに、かなり落胆。


展開予測からすれば、
ハーツクライは当然上位に置いてしかるべきだったのだが、
このレース、過去10年で、前走5着以下敗戦馬が【0 0 0 34】
という、恐ろしいデータがあり、
それを信じて、評価を下げたのが裏目に出た感がある*3


8年前に、札幌記念1着から天皇賞直行で優勝した牝馬のJCの着順を
中途半端に覚えていたのも、状況を悪化させてしまった。


最終レースに、休養明けの6歳牝馬・レディーシップ*4
出ているのを見て、思わず買ったのが吉と出たり、と、
競馬が“記憶のスポーツ”であることに変わりはないのだが、
こと、GⅠに関しては、同じ戦法はそうそう何度もはまるものではない。


結局、秋のGⅠ戦線は、回収率115%程度。
しばらくお休みして、有馬記念まで待つことにしよう・・・。

*1:入線した瞬間は、3連複を当てた!と喜んでいたのだが、よく考えたら、上位人気3頭・・・。当然配当も付かず。

*2:20年近く昔に、こんなタイムを叩き出していた馬(しかも同タイムのオグリを入れると2頭も!)がいたこと自体、奇跡に近かったのであるが・・・。

*3:結局のところ、今年の天皇賞(秋)の“異常さ”を証明してしまった感がある。外国馬を抜いて順番をつければ、ちょうど1ヶ月前に想定されていた結果になりそうである(リンカーンサンライズペガサススズカマンボ・・・、ちなみにマンボは柏木集保氏が本命に挙げていたため、自分も買ってしまったのだが・・・orz)。

*4:3歳時にはフラワーC3着、上位レーティングにも入っていた馬である。

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