「年初の決意表明」

というほど大げさな話ではないのだが、気が向いたので一つ・・・。


ここ何年か、年初のこの時期には、目の前に迫った具体的なターニングポイントに向けて、その先の数ヶ月をどう整えていくか、ということで頭が一杯になっていることが多かった。


言い換えれば、自分がこれから向かおうとしている一つの目標があって、それに向けての具体的な方法論も固まっていて、後はどのタイミングで今の日常を脱してそっちに向かうか、それだけを考えていればよかった。


だが、今年に関しては違う。


目指そうとする場所は全く変わっていないのであるが、そこに向かうための道が全く見えていない状態だから、急に思い立って進路を切り替えようとしても、ヘタをすると数年は完全にフリーな状態に晒されるかもしれない・・・というハイリスクな状況に置かれることになる。


そもそも自分がここ数年やってきたこと、っていうのは、目の前の富士山に登るために、観光バスでもある程度のところまでは連れて行ってもらえるような楽なルート(とはいえ本当に頂上にたどり着こうと思えば、手ぶらで行けるほど楽なものではない。たぶん。)の通行券をもらったにもかかわらず、

「観光客がたくさんいるようなとこはやだ」

と言って、ビッケル持って険しい崖道を登ってたようなもので、不効率極まりない営為だったことは間違いない。


挙句の果てに、

「いつでも乗れる」

と思っていた観光バスの乗車券は、期限切れで使えなくなってしまったりもしたわけで、まぁ客観的に見たら、“崖っぷち”とでもいうべきなのだろう。



ただ、一つだけ強がりを言わせてもらうなら、この3年間の“現場経験”の意味は計り知れないほど大きかった。


元々中途半端に流すのが嫌いで、やる時は徹底的にこだわってしまう性質だから、必要以上に現場の仕事にのめりこんでしまった面があるのは否めないし、周囲の環境の激変によって、自分の能力以上の仕事と責務を負わされていたのも確かだ。


だが、“組織”としての縛りが決して強くはない(笑)環境下で*1、一種の魔“法”使いとして、会社の中をあちこち飛びまわり、社内のクライアントと文字どおりの二人三脚で、制度作りだの外敵防衛だの、時にはビジネスの立ち上げだの・・・といった諸々の作業をやれるような経験は、法務の現場にいなければ決してできなかったものだし、仮に自分が、何かの間違いで、丸の内や六本木あたりの大きなビルの中の住人になっていたとしても、ここまでミクロレベルに立ち入った仕事はできなかっただろうと思う。


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入社前から退職願の書き方(&出し方)を研究していた生意気な新入社員も、早い者でもう10年選手になろうとしている。


プロ野球の世界ならフリーエージェントで大手を振って、球団におさらばできる時期でもある*2


血みどろの白兵戦で名実ともに先頭切って戦えるような身分になるまでは、現場を離れたくない、という思いはあるし*3、現場に留まったまま目標を一つ達成できるならそれが一番理想だろう、という思いはあるのだが、紙一枚、あるいは号令一つで「退屈な仕事」に逆戻りさせられかねない、というのもサラリーマンの宿命だ。


個々人が負うリスクが極小化されている代わりに、個々人に柔軟な自己決定権が与えられていない*4、というのが大きな会社の常である以上、一寸先は闇、幸福な時間は決して長くは続かない、ということにも、今さらいわれるまでもなく気付いている。


だとしたら・・・・


自分にできることは、いつでも今いる場所を引き払えるような心の準備(&物理的な整理整頓(汗))をしておくことと、今の場所にいられる間に、できることを可能な限りやり尽くす、ことしかないんだろうな、というのが、2008年を迎えるにあたっての結論だ*5


前者は「そう言われても・・・」というのが実情だし(特に物理的云々に関してはほぼ不可能)、後者に関しては、今までと何ら変わらないといえばそれまでなのだが、いつ目の前のクライアントの仕事が受けられなくなるか分からない、という状況が迫っている以上、一期一会、一網打尽、一撃必殺・・・、とにかく「明日やればいいや」的な甘えを極力排して、“今できること”“今伝えたいこと”を、あらゆる手立てを使って表現していかなければならない、と思っているところである(そう、気持ちだけは(笑))。

*1:裏返せば組織としてのサポートにはほとんど期待できない、という状況でもある。もちろん、そういった環境にしたのは自分自身のささやかな“策略”によるところも大きいのだがw

*2:もっとも、自分の場合、その年数に値するだけの実働期間があるかと言われれば、我ながら多いに疑問なのだが・・・。

*3:その先の純粋なマネージャー業務には今のところあまり関心はない。更にその先の経営ボードの世界なんぞには、金積まれても足を踏み入れたくない、というのが本音だ。

*4:もちろん会社を辞める、という究極の自己決定権の行使は妨げられるものではないが。

*5:これが考えに考え抜いた上での結論だとしたら、何と安直なことか・・・とお叱りを受けそうだが、実のところ数時間前にメガたまごを頬張りながら思いついた、というだけの話なのでご容赦願いたい(苦笑)。

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謹賀新年

今年も、CDTV見ながら厳かに(どこがだ!)新年を迎えた。


大体、この番組でここ数年定番になっている1993年(CDTVが今の形で放映されるようになった年)からのナツメロ振り返りを*1、時に「おぉ」と思いながら、そして時にセピア色の思い出と一緒に振り返りながら涙しつつ*2、新年が何時間か過ぎていき、眠気に堪えかねて床に就くと、意識駕戻った時には、6時間遅れの初日の出とニューイヤー駅伝のゴールシーン・・・(あるいは天皇杯のキックオフか・・・)。


という悪夢だけは繰り返したくないものだ。


年初の所信表明のような話はまた追って書くとして*3、今年は年明け早々から、著作権法改正と独占禁止法改正という大きな改正マターが続くことが予想されることもあって、本ブログも少なからず盛り上がるのではないか、と内心期待しているところである。


さらには、裁判員制度の開始に向けた準備が本格化し、刑事手続全般の運用が目に見えて変わってくることや、債権法の改正に向けたアドバルーンが続々打ち上げられたり、とか、我が国の法体系の根幹について、大きな変容が生じる予感を抱かせる年でもある。


どこの会社も熱病のようにうかされていた“コンプライアンス”ブームが終焉を迎え、人がだぶつき始めた法務部署に追い討ちをかけるように、弁護士の「就職難」問題の尻拭いを求めるかのような法務人材採用のプレッシャーが随所から襲いかかる、なんていう、企業法務サイドの人間にとっては有難くない未来予想図もあるところだが、仕事なんて結局なるようにしかならないわけだから、ここは一つ笑福亭鶴瓶師匠ばりの“計算されつくした自然体”*4で乗り切れれば・・・と思っていたりもする。


・・・ともあれ、読者の皆様には、謹んで新年のご挨拶を申し上げる次第。
2008年が皆様にとって実り多き一年になることを、ただただ願うのみである。

*1:「93年」なんて自分の中じゃ“ちょっと前”くらいの感覚しかないのに、気が付きゃもう15年前かよ、おいおい・・・。そこからさらに15年遡るとピンクレディの時代になってしまうだけに、時間の流れの重さを感じる瞬間でもある。

*2:特に、95年とか98年とか・・・。

*3:と書いているようなエントリーは、大抵日の目を見ることなく終わってしまうものなのだが・・・。

*4:どこまで台本でどこまでアドリブかは一見分からないけれど、最初冷や冷やさせながらもクライマックスの場面では聞かせる語りを用意してホロリとさせる、その辺に師匠の芸と演出の巧さを感じたのは筆者だけではあるまい。数字に反映されるかどうかはともかくとして、今年の演出はかなり良かったと思う。

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