愛煙家たちよ! 反撃せよ!!

日経の朝刊に、特定の分野の専門ではない方が、
思い切った提言をしている「領空侵犯」というコラムがある。


今週は、医療経済学者の千葉大広井良典教授のコメント(5面)。

病気というのは、ストレスや働き方、生活など無数ともいえる要因が複雑に関係しています。米国は喫煙には厳しいけれど、寿命は日本より短く、健康水準は先進国のなかでは低いし肥満率も高い。たばこだけが健康に悪いと決めつけるのはおかしい。

米国は何でも物事を一対一の因果関係に還元して、善玉と悪玉に分けたがる。喫煙が絶対悪だとする主張は、そういう単純な米国的思考と結びついている気がします。吸わない人たちに迷惑をかけないのは当然。でも、完全に禁止するほど厳格である必要はないと思います。

ムラ社会的な異端排除の論理も、米国式にたばこだけを悪者にするのもよくない。たばこの害は個人の責任で引き受け、他人には及ぼさない。その範囲で行動する限り、とやかく言わない方がいいのではないでしょうか。

自分自身、かなりのヘビースモーカーなので、
バイアスがかかった見方になるのは否定しないが、
最近のタバコ敵対視論はあまりに目に余る。


元々、タバコが苦手な人はいる。
そういう方への配慮として、分煙環境を確保する、というところまでは良い。
だが、最近はそれを飛び越えて、公共の場での一切の喫煙禁止等、
とことんいくところまでいってやろう、的な規制強化がとどまるところを知らない。


嫌煙派と呼ばれる人の中には、
ヒステリックな神経過敏症らしき方々も少なからずいる。
そういう人間は、得てして、
あらゆる手段を使って、自分の気に食わないものを葬りさろうとするものである。
(今、たまたまその矛先がタバコに向かっているに過ぎない)


ポリシーとバランス感覚のないメディアがそれを煽り、
声のでかい方になびくいくつかのサービス事業者や行政機関が追従することで、
社会全体があたかも魔女狩りのような様相を呈するようになっている。


JR東日本の東京駅のホームでは、
喫煙者があたかもナチスが作ったガス室のような狭い部屋に押し込まれ、
愛煙家はすれ違うのも困難な空間のもうもうとした煙の中で、
咽びながらタバコと吸わされる状況である。


目の前に見える東海道新幹線のホームでは、
オープンエアの快適な環境で、タバコが吸えるというのに・・・
(会社の懐の大きさの違いをまざまざと見せ付けられるようである)


また、最近では、「医療費用という社会的コストの抑制」なる論理が
まことしやかに囁かれているようでもある。


だが、冷静に考えてみよ。
病気になって早死する者のために社会が負担するコストより、
病気にならず、年金をもらいながら余生を過ごす老人に対して費やすコストの方が、
はるかに大きいというのは自明の理であろう*1


そもそも、広井教授は元厚生官僚であり、
現在、医療経済を専攻する経済学者である。
だからこそ、「領空侵犯」などと言わず、
これからも、もっとしっかりこの問題について発言していただけるよう期待したい。


タバコ吸いが絶滅すれば、また次に特定の嗜好集団がターゲットになる。
そんなことを繰り返す世の中は、まっぴらである。

*1:別に心穏やかに余生を過ごす老人が悪いと言っているわけではない。ここではあくまで、社会的コストなる理屈を持ち出すことのアホらしさを説いているだけである。

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