日経の科学面に、「大学で高まる知財意識」という特集記事が載っていた。
先日ニュースになった、
千葉大の落合教授が免疫抑制剤特許をめぐってアステラス製薬を訴えた、
という事件を切り口に、知財で権利主張を始めた大学の姿についてリポートしたもの。
落合教授の件については、
医薬品特許の分野において「発明者」をどのように認定するか*1、
という論点と絡むもので、
かの業界の実務に疎い自分としては、何ともコメントしようがないのだが、
20年前の話を今さら持ち出されてしまった製薬会社の担当者の身になって考えると、
非常に気の毒な事案だと思う。
自分の会社には、共同研究の成果を勝手に特許出願したり、実施する、
という大胆な行動に出る風土がまるでないので(笑)、
実務上、大学との間でこういう問題が生じる可能性は少ないと思われるが、
それでも、契約締結の段階から激しい自己主張をするような大学の姿を見ていると、
いつかは大学との綱引きに巻き込まれるということも
覚悟しなければならないように思う。
このあたりの論点については、機会があればまた述べる。
*1:物質を発見した者のみが発明者になるのか、それとも効果を実証した者を含めて発明者とするのか。