一度ひとつのことを考え出すと止まらない性質なので、
予定を繰り上げて、この興味深いテーマに挑んでみる。
資料として、ネット上に散らばっている各サイト、
2chの過去スレッド(ほんの一部に過ぎないが)、
渦中の「わた」さんをはじめとする、FLASH職人の皆さんの力作、
そして、問題のエイベックスの「マイアヒフラッシュ」。
結論自体は、昨日のエントリーで表明していた中身と変わらない。
ただ、法務担当者としての視点から見ると、
今回の一連のパブリシティ利用&商品化プロジェクトは、
エイベックスの担当者のビジネスセンスとリスク管理能力が疑われる、
あまりにお粗末なものと言わざるを得ない。
特定のキャラクターを自社の宣伝と結びつけて(さらにはそれを超えて)
展開していくには、それなりの投資が必要となる。
だとすれば、多額の投資をした段階で、プロジェクトの足元、
すなわち、キャラクターを自社が展開する「権利」の正統性が揺らぐような
事態を生じさせることは、絶対に避けなければならない、
というのが鉄則となる。
だからこそ、徹底的に商標調査をかけ、
たとえ依拠していないとしても、クレームに備えて、
徹底的に類似商品のデザインを分析する。
そして、そのキャラクターを商品を出すことによる
自社商品へのベネフィットとリスクを徹底的に分析した上で、
初めて市場にお披露目することになる。
今回のネット住民の「反撃」は、
予測したリスクさえ上回る強烈なものだったのかもしれないが、
それにしても、エイベックス社の一連の対応は、お粗末感が拭えない。
もちろん、リスク回避策を全く講じていないわけではない、ということは、
商品化にあたって、複雑な契約形態*1を
とっていることからも分かるのではあるが、
結局、叩かれるのは誰か、というのを考えた時、
契約上のリスク分配だけでは立ち行かなくなる、ということは、
容易に想像できそうなものだ*2。
実際にCDに収められているFLASHは、
元々ネット上で流れていたものよりも面白みに欠けるし*3、
別の売り方をしてもプロモーション次第では、
それなりのセールスを稼げただろうに*4、
その先の商品化の利益に目がくらんで、
目の前のリスクを見抜けなかったのだとしたら、悲しいことである。