2006年W杯ドイツ大会決勝戦、イタリア対フランス。
結局3時まで起きて、
開始早々、アンリがカンナバロと激突して脳震盪を起こした衝撃シーンと、
マルダがもらった微妙なPKをジダンが決めてフランス先制!
というところまで見届けたのだが、間もなくして眠りに落ちる・・・。
そして、次に目が覚めた瞬間、
テレビの中で繰り広げられていたのは緊迫したPK戦。
イタリアのマテラッツィが蹴る瞬間に場内ブーイング(何で?)。
さらにフランスのキッカーにジダンが出てこない(途中交代?)。
フランスの2人目・トレゼゲのシュートがバーと地面を叩き、
最後にグロッソの左足から放たれたシュートがネットに突き刺さった瞬間に、
勝負は決着を見たわけだが、上のあたりがどうも腑に落ちずにいたら、
アナウンサー曰く、「ジダンの退場が・・・」。
え・・・?
表彰式で記念メダルの贈呈を受ける審判に対する
近年まれに見る場内大ブーイングを見て、何となく悟った自分。
あとは、結末からミステリー小説の謎解きをするがごとく、
録っていたビデオで空白の110分を見返す。
そして観たラスト・ダンス・・・。
何たる皮肉、こんな結末じゃ、哀しすぎる・・・。
◆◆
序盤から試合は荒れ模様だった。
前半早々にザンブロッタがヴィエイラを削ってイエローをもらえば、
フランスもサニョルがライン際の競り合いでイエロー。
欧州の伝統国どうしのプライドをかけた対決、
それだけ緊迫した試合になっていた、ともいえる。
ピルロCK→マテラッツィの見事な同点ヘッドの後、
スコアそのものは膠着したが、
中盤から後ろを任された両チームの歴戦の猛者たちが、
容赦なくボールの持ち手たちに襲い掛かる玄人好みの“局地戦”、
見ていて飽きを感じさせない好勝負の数々。
後半に入ると、フランスが試合を支配し始める。
ヴィエイラの負傷退場というアクシデントはあったが、
リベリ→ジダン→マルダとつないでみたり、
アンリからジダン、マルダとつないでアンリが再びシュートチャンスを
演出してみたり、と多彩なパスワークを見せる。
一方のイタリア、ベンチは早々とトッティに見切りをつけ、
その直後、FKからゴールネットにボールが突き刺さるもオフサイドの旗。
楔の選手にロングボールを流し込んでも、
鉄壁のフランス守備陣は微動だにせず。
90分終わる頃には、イタリアも“いつものペース”へと
押し戻しつつあったものの、
素人目には互角からややフランス有利、の展開に見えた。
延長戦に入っても、わずかに横に逸れたリベリのシュートに、
サニョルのクロスにドンピシャで合わせたジダンのヘッド、と
場内を沸かせていたのは常にフランスの方*1。
悲劇が起こったのはそんな時。
テレビに映らない、主審も見ていなかったであろうところで、
ジダンがマテラッツィ相手に仕出かした“頭突き”。
行為そのものが退場に値するのは間違いない。
準々決勝のルーニーに続いて、
スター選手に正しく赤紙を出す主審の勇気は、
誉められてしかるべきなのかもしれない。
だが、そんな審判の勇気を称えるには、最悪の舞台設定だった。
ボトルを蹴飛ばすドメネク監督、
完全に悪役になったイタリアの11人に対して、
容赦ないブーイングの嵐が降り注ぐ。
当然ながら、そこから先は、
もはやサッカーではなかった・・・。
◆◆
イタリア、と言えばW杯のPK戦に泣かされてきたことで有名だし*2、
いくら自軍にブッフォンがいるとはいえ、
“嫌な感じ”はしていたはず*3。
そこで全員がきっちり決めたあたり、
優勝に値するだけの精神力を備えていたチームとして賞賛されても良いはずである*4。
だが、フィールドに立つ相手チームのメンバーの中にジダンがいなかった、
それだけで優勝の価値は減殺されてしまうだろう。
そして、ジダン。
今大会、「若返ったようだ」と評されていた世界屈指のプレーヤー、
若返ったのは、ボール扱いのテクニックだけではなかったらしい(苦笑)。
あたかも、8年前の大会の、巻き戻しVTRを観ているかのように、
時代は遡っていった・・・。
一日前とはうって変わって、誰もが幸福になれない結末。
こんな終わり方は、見たくはなかったが、
それも、ワールドカップのひとつの有り様なのかもしれない・・・。