西武の“裏金”問題に端を発した球界の“ルール違反”が、予想通り他球団にも波及してきた、というニュース。
「プロ野球の横浜が2005年に入団した那須野巧投手(24)に、最高標準額を超える5億3000万円の契約金を支払っていたことが11日、分かった。球界関係者が明らかにした。」(日経新聞2007年4月11日付夕刊・第17面)
だが、記事にもあるとおり、「ルール」といっても厳格に各球団を拘束するものではなく、あくまで「標準額」という球団間の「申し合わせ事項」に留まるのがこの契約金制限。
なぜなら
「独占禁止法に抵触する可能性もある」
からである。
別に仔馬のセリ市で1億円で落札しようが、5億円で落札しようが、そこに目くじらを立てる人はいないわけで、高い金を出して「落札」した人はその分リスクを負う、というだけの話なわけだから、こんなところで「ルール違反」を強調すること自体ナンセンスだと筆者は思ってしまう。
強いて問題のある点を挙げるとすれば、「申し合わせ」を遵守していた、という体裁を装いつつ、裏では高額の契約金を支払っていた、ということになるのかもしれないが、テレビ桟敷の善良な市民ならともかく、スカウト関係者にとってはおそらく公知の事実になっていたのだろうから、球団間の競争面においては何ら問題はないはずだ。
資金力豊富な球団は、手っ取り早く“即戦力”に多額の投資をすればよいし、そうでない球団は無名の新人を発掘して安い初期投資で鍛え上げればよい。
筆者とて、ナベツネ氏的言動(大巨人軍的価値観)には生理的不快感を感じるが、言っていること自体はそんなに間違っていないと思う時はあるのであって、この件に関してもそうだ。
そもそも5億円以上の大金をはたいて獲得した当の那須野投手が、
と未だ“大器の片鱗”を見せるに留まっている事実自体が、契約金の上限を制限しないと・・・という理屈が決して筋が通ったものではないことを裏付けているように思えるのだが(笑)。