本当に学ぶべきものとは?

知財関係の仕事を何年もやってきて良く思うことは、

特許法は簡単。著作権法は難しいが調べればある程度答えは出る。でも、商標法、不競法は、そうとはいえない。」

ということ。


不競法の場合、当てはめの段階での結論が見えにくいだけで、考え方自体はシンプルだからまだ良いのだが、商標法の場合、そもそも法の基本思想、というか考え方の筋道自体が素人では全く理解できず、ある程度経験を積んだ人間にとってさえ、説明に窮することがままあるだけに、相当厄介だ。


地域団体商標だ、小売商標だ、と最近商標法制度をめぐる「変革」が相次いでいることもあって、いろんなところで説明を求められる機会は増えているのだが、上記のような事情があるゆえに、特許庁の説明資料を渡して「はい、これを読んでください」で終わりにするわけにはいかない。


そもそも商標は何のためにあるのか、何をもって商標権侵害というのか、という基本的な部分がすっぽり抜け落ちているような資料をいくら使っても、埒があかないのである・・・。


そもそも法律専門家の養成段階においても、商標法に触れる機会というのは極めて少ない。天下の最高峰と言われる大学の法学部ですら、学部段階では商標法の講義時間はゼロに等しかったし、実務家の先生方の中でも、商標に強い人、というのは決して多くないから、正確、かつ的確な判断ができる次世代の実務家の先生方が育っていくペースも(特許法の世界のそれに比べると)極めて遅いように見受けられる*1


文科系のバックグラウンドを持つ人間が多い法科大学院などでは、特許の実施概念や均等論のようなマニアックな論点を教えるより、商標的使用の概念を徹底して教え込んだほうが、将来的にははるかに有益だと思うのであるが、実際にはそのようなプログラムが組まれている大学は僅かしかない。


それが現実だ。


こういった状況を鑑みると、一刻も早く「商標に強く」かつ「分かりやすく制度を解説できる」実務家を大量養成していただくか*2、あるいは商標法の発想自体を転換して(笑)、初心者にもとっつき易いルールにしていただくか、どっちかではないか、と思ったりもする。


まぁ、狭い会社の中では、取っ付きにくいが故に業務の参入障壁が生まれ、筆者自身が稀少財としての独占的利益を享受している(爆)のも事実なので、別にこのままでも良いのであるが、世の中一般にとっても、それで良い、という話には決してならないはずだ。


以上、一担当者の戯言として・・・。

*1:弁理士の世界には、時々「商標の仕事なんて事務員でもできる」という勘違いをされている方もいるようだが、商標制度に対する本質的な理解能力を疑わざるを得ない。

*2:前者の要件を満たす方は少なからずいるとしても、同時に後者の要件を満たす人は決して多くないのが現状であるように思う。

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