待望の新刊

そろそろ例のヤツが出る頃かと思って、某大型書店に足を運んでみたのだが、まだ入荷されていなかった。残念*1


・・・で、そのついで、といってしまうと大変失礼なのだが、並んでいた他の書籍の中で目に付いたものをいくつか挙げておくことにしたい。


実務 審決取消訴訟入門

実務 審決取消訴訟入門


知財系の中堅事務所として定評のある、阿部・井窪・片山法律事務所の先生方が分担して書かれている実務書なのだが、単なる法制度の解説だけでなく、訴訟を進めるにあたっての事務所とのコミュニケーションのとり方、等、気の利いたマニュアル的エピソードが盛り込まれているのが、なかなか面白いのではないかと思う。


あと、元裁判官の長沢幸男弁護士が担当されていた項に、「審判から審決取消訴訟に移行する際の代理人の選び方」 というトピックがあり、自身がこれまで担当した事件での経験にも照らして、非常に有意義な記載だと思った次第である*2


パッと見たところでは、少し特許法161条2項絡みの記述が薄かったようにも思え、新しいトピックへの対応についてはどうしても“経験的実務書”の限界があるのは否めないが、職場に一冊あると便利なのは間違いないと思う。


ライセンス契約 (ビジネス法務大系)

ライセンス契約 (ビジネス法務大系)


こちらは2月発売の書籍なので、今さら何を、と思われる方も多数いらっしゃると思うが、ライセンス契約と独禁法の関係、大学発明とバイドール制度、高林龍教授のご執筆にかかる権利消尽論、三村量一判事ご執筆の「特許実施許諾契約」の網羅的解説、と実務的にも学問的にも興味深いテーマが多数盛り込まれており、ご紹介せずにはいられなかった。


個人的には、「マーチャンダイジング」(龍村全弁護士)、「パブリシティの権利」(小川憲久弁護士)、「周辺領域のライセンス」(椙山敬士弁護士)と、いわゆる境界線上の“権利”に多くの紙幅が割かれているのに魅力を感じるし、GPLから国際裁判管轄まで、幅広くカバーされているのも良い。


多数の研究者・実務家がそれぞれのテーマで分担執筆する、という形式の書籍では、通常どうしても“穴”は出てきてしまうのであるが、本書に関して言えば、類似のテーマを複数の執筆者が重ねて書いていたりもするので、その懸念も多少は和らいでいるように思われる。



・・・・と、ここまで書いたところで、Amazonに、既にあの大著が登場していることに気付いた。


著作権法

著作権法


一つのポリシーとして、少なくとも本屋で手に取るまでは紹介しない(事件ネタ系は除く)という方針をとっていた本ブログであるが、中山教授の待ちに待たれた著作、ともなれば、あえて手に取らずとも、ご紹介することに何ら懸念を抱く必要はない。


「10月15日発売」とあるから、筆者は明日(というかもう今日)まっしぐらに書店へ向かうつもりであるが、賢明なる読者の皆様には、筆者如きのどうでもよいコメントを待つより先に、サクサクと入手することをお勧めしたい。

*1:去る筋の情報によると、既に裏ルートで入手した民間人(笑)がいらっしゃるとのこと。自らのツテの薄さを痛感する今日この頃である。

*2:審決取消訴訟をあたかも簡単な手続であるかのように言い切る特許事務所、会社の勧める事務所と手を組むことを嫌がる特許事務所に限って、訴訟を任せるとロクなことはない。それに近い記載があって我が意を得た感がある。

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