そろそろ例のヤツが出る頃かと思って、某大型書店に足を運んでみたのだが、まだ入荷されていなかった。残念*1。
・・・で、そのついで、といってしまうと大変失礼なのだが、並んでいた他の書籍の中で目に付いたものをいくつか挙げておくことにしたい。
- 作者: 片山英二,長沢幸男,阿部井窪片山法律事務所
- 出版社/メーカー: 民事法研究会
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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知財系の中堅事務所として定評のある、阿部・井窪・片山法律事務所の先生方が分担して書かれている実務書なのだが、単なる法制度の解説だけでなく、訴訟を進めるにあたっての事務所とのコミュニケーションのとり方、等、気の利いたマニュアル的エピソードが盛り込まれているのが、なかなか面白いのではないかと思う。
あと、元裁判官の長沢幸男弁護士が担当されていた項に、「審判から審決取消訴訟に移行する際の代理人の選び方」 というトピックがあり、自身がこれまで担当した事件での経験にも照らして、非常に有意義な記載だと思った次第である*2。
パッと見たところでは、少し特許法161条2項絡みの記述が薄かったようにも思え、新しいトピックへの対応についてはどうしても“経験的実務書”の限界があるのは否めないが、職場に一冊あると便利なのは間違いないと思う。
- 作者: 椙山敬士,小川憲久,平嶋竜太,高林龍
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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こちらは2月発売の書籍なので、今さら何を、と思われる方も多数いらっしゃると思うが、ライセンス契約と独禁法の関係、大学発明とバイドール制度、高林龍教授のご執筆にかかる権利消尽論、三村量一判事ご執筆の「特許実施許諾契約」の網羅的解説、と実務的にも学問的にも興味深いテーマが多数盛り込まれており、ご紹介せずにはいられなかった。
個人的には、「マーチャンダイジング」(龍村全弁護士)、「パブリシティの権利」(小川憲久弁護士)、「周辺領域のライセンス」(椙山敬士弁護士)と、いわゆる境界線上の“権利”に多くの紙幅が割かれているのに魅力を感じるし、GPLから国際裁判管轄まで、幅広くカバーされているのも良い。
多数の研究者・実務家がそれぞれのテーマで分担執筆する、という形式の書籍では、通常どうしても“穴”は出てきてしまうのであるが、本書に関して言えば、類似のテーマを複数の執筆者が重ねて書いていたりもするので、その懸念も多少は和らいでいるように思われる。
・・・・と、ここまで書いたところで、Amazonに、既にあの大著が登場していることに気付いた。
- 作者: 中山信弘
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2007/10/15
- メディア: 単行本
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一つのポリシーとして、少なくとも本屋で手に取るまでは紹介しない(事件ネタ系は除く)という方針をとっていた本ブログであるが、中山教授の待ちに待たれた著作、ともなれば、あえて手に取らずとも、ご紹介することに何ら懸念を抱く必要はない。
「10月15日発売」とあるから、筆者は明日(というかもう今日)まっしぐらに書店へ向かうつもりであるが、賢明なる読者の皆様には、筆者如きのどうでもよいコメントを待つより先に、サクサクと入手することをお勧めしたい。