政府の行政改革推進本部専門調査会が検討している、公務員の労働基本権に関する報告案の内容が明らかになった、というニュース。
「公務員に人事評価や給与水準など労働条件を労使で定められる「協約締結権」を付与する一方、人事院による勧告制度を廃止するのが柱」(日本経済新聞2007年10月18日付日本経済新聞夕刊第1面)
ということであるが、労働協約締結権認めたところでねぇ・・・
というのが率直な感想である。
この改革の背後に、労働基本権と引換えに公務員の身分保障を緩めようという思惑があるのは重々承知しているので、そんなに厳しい突っ込みもしたくはないのだが、
「公務員に能力・実績主義を導入するためには、人事院勧告による一律の昇給はなじまないと判断。労使が勤務条件を柔軟に決定できるように協約締結権を完全に付与し、人事院による勧告制度を廃止すべきだと明記した。」(同上)
と聞くと、何とセンスがない話か・・・と呆れてしまう。
柔軟に労働条件を決定したければ、純粋に個別協議による条件交渉スキームをしっかりつくっていけばよいだけで、コストのかさむ集団的労使関係スキームに載せるなど、この時代においてはまさに愚の骨頂というべきだろう。
もっと笑えるのは、警察や自衛隊、消防職員といった特殊な職において、団結権を付与するか、という議論の中で、
「人材確保に役立つ」
というコメントが出されていること。
「団結権」があるから、と喜んで入ってくるような人間は、極々限られた層だと思うが、そういった人間を採用サイドは果たして望んでいたのだろうか。
「集団的労使関係」という幻想が失われつつある中で、こんな制度改正が今さら行われているのを見るのは、あまり気持ちの良いものではないのだが、今後システムがどのような形に作り上げられていくのか、ということを追っていくのは、意外に面白い作業かもしれない、と思った次第である。