労働

「同情」を超えた「共感」

日曜日の夜に飛び込んできた一つのニュース。 ただの芸能ネタ、と片付けることなかれ。 ここには、日本の多くの組織が抱える病巣と、それに直面した時にどうするか、という行動規範が明確に示されているのだから。www.oricon.co.jpこの事件の特異性だとか、…

「新卒一括採用」の呪縛から解き放たれるとき。

ここ数年の迷走を見ながら、いつかはこうなるだろう、と思っていたが、この国にしては意外と早く事が決まったようである。 「経団連は新卒の学生の就職活動について、通年採用を広げていくことで大学側と合意した。春の一括採用に偏った慣行を見直す。能力を…

「非正規格差」訴訟がもたらす日本の雇用の未来

ここ数年、人事労務業界に大きな話題を振りまいてきた「非正規格差」訴訟で、先週、遂に最高裁が労働契約法20条に関する解釈、判断を示した。 「正社員と非正規社員の待遇格差を巡る2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、定…

またしてもオリンパス。

ここ数年、社長解任劇に始まって、不正会計事件、内部通報者報復事件、と、コーポレート・ガバナンス、あるいはリスク対応、コンプライアンス対応の観点から、「やってはいけない」事例を世の中に繰り返し提供してくれているのがオリンパス、という会社であ…

プレミアム感のない金曜日とホワイトカラー・エグゼンプション

2月に始まったときはそれなりに話題になっていたものの、「月末最後の金曜日」をターゲットにする、という、企業の中で働く人々の空気を全く読まない施策だったために、もはや誰の脳裏にも残っていない「プレミアム・フライデー」*1。当然のことながら、目の…

あれから10年、「労働契約法」が進む道。

今に始まったことではないが、時が経つのは随分と早いものだと思う。 そして、今さら読んだジュリスト6月号の特集が「労働契約法の10年とこれから」というタイトルになっているのを見て、その思いはなおさら強くなった。ジュリスト 2017年 06月号 [雑誌]出版…

この道はいつか来た道。

“8月就活”の狂騒曲の余韻も未だ残っている中、朝令暮改とはまさにこのこと、と言わんばかりの記事が日経新聞の1面を飾っている。 「経団連は今年から導入した大学生の就職活動のルールをもう一度見直し、面接など企業による選考の解禁時期を8月から前倒し…

労働者派遣法の迷走を読み解くための一論文

難産の末に、労働者派遣法改正案が成立した、というニュースが飛び込んできたのはつい最近のこと。 そうでなくてもここ数年の改正で内容が二転三転しているうえに、今回の改正案も国会で紛糾して修正が入る、施行時期も変更を余儀なくされる、という状況で、…

生々しく語られる就職戦線の混乱。

6月末頃に、自分の古い記憶も辿りながら、今年の就職活動の“荒れ模様”を皮肉るエントリーを書いたら*1、思いのほか反響があって、やはり、今の学生も、それを見守る人々も、皆、今年の無秩序状態に忸怩たる想いを抱いているのだなぁ・・・ということを改めて…

こんな時代だからこそ光る、第一人者の一言。

会社法改正やら、「コーポレートガバナンスコード」制定やら、という動きもあり、最近、メディアで(特に某経済新聞で)「社外取締役が必要だ!」的な報道に接しない日はない、といってよいくらい偏向した世の中になってしまっているのであるが、そんな中、…

就職活動開始時期を繰り下げたら、こうなった。

就職活動に関して、“ほらね、やっぱり、言わんこっちゃない”と言いたくなるような話題が、最近報じられることが多くなった。いつもはひっそりと就職活動面や、教育面に掲載されることが多いネタなのだが、この日は、一気に「2面」にまで出てきている。 「就…

「極論」とどう向き合うか。

今年に入ってから、日経紙で、冨山和彦・経営共創基盤最高責任者(CEO)の「高等教育機関に関する問題提起」が度々取り上げられている。まず、1月19日付の「エコノフォーカス」で、「稼げる大卒 どう育てる」という見出しを掲げ、大卒者の人数増加と求人ニー…

「アナウンサー内定取消」事件の報道に感じた時代の変化。

アナウンサー採用が内定していたにもかかわらず、「クラブでのアルバイト経験」を理由に内定を取り消された大学4年生の女性が、入社するはずだった日本テレビを相手取り、訴訟を提起した、という事件が初めて大々的に報じられたのは、去年の、秋も深まった時…

帰ってきたホワイトカラー・エグゼンプション

安倍首相が7年ぶりに政権を取り戻して以来、いろいろと“昔懐かし”的な施策が飛び出してきているのだが、14日付の日経朝刊1面に大きく掲載されたこの施策も、ずいぶんと懐かしい香りがする。 「政府は1日8時間、週40時間が上限となっている労働時間の規定に当…

夏休みに読んでみた本(その1)〜労働契約法改正を語りつくすための一冊。

“夏休み”といっても、丸一日休めるようなのんびり感とは程遠い状況であるのだが、それでも、ちょっとは時間を作って、買い貯めていた本を読もう・・・ということで、今年もこのシリーズをやってみることにする。改正労働契約法の詳解 Q&Aでみる有期労働契約…

早起きは5割増しの得・・・的施策への疑問

昨年「フレックスタイムの廃止」という、あっと驚く施策を打ち出して物議を醸した会社が、またしても勤務制度改定の話題で日経紙の1面を飾っている。 「伊藤忠商事は社員の働く時間を朝方にシフトさせ残業を減らすため、新たな賃金制度を導入する。時間外手…

蒼国来関解雇無効事件が示唆する「事実調査」の怖さと難しさ。

東京地裁で3月25日に出された解雇無効判決で、前代未聞の“土俵復帰”なるか、が注目されていた蒼国来関が、遂に夏場所で復帰することが確定した。通常は、“地獄の果てまで”のコースになることが多い解雇無効訴訟だが、本件に関しては、(後にひっくり返ること…

“就職活動さらに繰り下げ”論の愚かさ。

毎年、この時期になると、“就職活動”の是非をめぐる議論が湧き立つものだが、そんな中、日経紙に驚くべき記事が載っていた。 「政府は企業による大学生の採用活動の解禁時期を遅らせ、大学4年生の4月にするよう経済界に検討を促す方針を固めた。現在の大学3…

「準正社員」というと聞こえは良いが・・・。

日経紙の一面に、「準正社員」という聞きなれないフレーズとともに、以下のような記事が掲載されている。 「政府は職種や勤務地を限定した『準正社員』の雇用ルールをつくる。15日に開く産業競争力会議で提案し、6月にまとめる成長戦略の柱とする。職種転換…

アルジェリアの悲劇はこの国に何をもたらすか?

最初の一報と、その後の「制圧作戦」のニュースを聞いた時に、皆薄々と感じていたことだろうが、今日になって、とうとう「アルジェリアの日本駐在員7名死亡」という悲しい知らせを聞くことになってしまった。なんだかんだ言って“平和な国、日本”に生きてき…

古き良き時代の終わり。

外資系企業、と言えば、何かとドライな印象が強いが、日本に長い間根付いている企業の場合、雇用環境も含めて意外にウェットな一面を持っていたりする。日本IBM、という会社もかつてはそうだった。元々お世辞にも“社員に優しい”会社とは言えなかったとは聞く…

競業避止契約をめぐる潮流の変化?

今週の日経の月曜法務面に、「競合他社への転職制限」をめぐる記事が掲載されている*1。このテーマに関しては、自分にもちょっとしたこだわりがあって、今年の1月に「アリコ」の転職禁止条項をめぐる東京地裁判決が報道された時も、最近の不勉強を承知で、つ…

不幸と憎しみの連鎖

かねてからこのブログでも何度か取り上げている、オリンパス内部通報者不当配転訴訟。 夏休みには当事者である浜田氏の本もご紹介したところだったのだが*1、この問題の根の深さを改めて感じさせるような記事が、4日付の朝刊に掲載されている。 「社内のコン…

夏休みに読むといいかもしれない本(その1)

7月も終わりに近づき、これから夏休みに突入、という方も多いのではないかと思うので、自分が最近読んだ本の中から、不定期に何冊か挙げていくことにしたい。自分の時間にどんな本を読もうが俺の勝手だ、という方も多いだろうし、筆者自身が人から勧められる…

「元社員を訴える」ことの意味。

先日、簡単に当ブログでご紹介した、新日鉄による対ポスコ営業秘密使用差し止め&損害賠償請求訴訟*1。日経紙は相変わらずこのネタがお好きなようで、今度は月曜日の法務面で大々的に特集を組んで報じている。新日鉄がいかにして「営業秘密関係訴訟のハード…

「技術流出に歯止め」をかけるために必要なこと。

4月25日付け夕刊から26日付けの朝刊にかけて、「新日鉄が韓国ポスコを相手取って不正競争防止法(営業秘密不正取得)に基づく訴訟を提起した」というニュースが華々しく掲載された。そして、それを受けて、4月30日付けの日経紙には 「技術流出に本気で歯止め…

「過労死」の労災認定増加は企業のリスクか?

6日付けの日経紙の法務面に、 「過労死の『労災認定』幅広く」 という記事が掲載されている*1。要約すると、 ・最近、裁判所が労災認定請求を幅広く認めるようになった。 ・最近の判決の中には、長時間労働を放置して「過労死」を招いた、として、取締役の善…

競業避止特約の有効性をめぐる一事例

14日付けの朝刊に掲載された「アリコ社の転職禁止条項『無効』」事件を、少し懐かしい気分で眺めていた。 「優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に、外資系生命保険会社が執行役員との間で取り交わした「退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違…

「痴漢で懲戒解雇」は許されるのか?

日経法務面の片隅に「リーガル3分間ゼミ」というミニコーナーがあるのだが、24日付けの朝刊では、 「30代の男性会社員が電車で痴漢に間違われ、大幅に遅刻して出社したところ、「疑惑が晴れるまでは自宅待機するように」と通告された。身に覚えのない疑いで…

最後に勝つのは正義。

地裁判決の時にも話題になっていた「オリンパス内部通報報復事件」で、会社側に大きな打撃を与えるような高裁の逆転判決が出た。 「社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報したことで配置転換などの報復を受けたとして、オリンパス社員、…