肖像権訴訟再び。

以前にも触れたことのある、プロ野球選手の氏名・肖像の使用をめぐる民事訴訟が、ついに高裁までたどり着いた。

「ゲームソフトなどでの選手名や肖像の使用許諾権がプロ野球選手と球団のどちらに属するか争われた訴訟の控訴審判決で、知的財産高裁は25日、球団に許諾権を認めた一審・東京地裁判決を支持、選手側の控訴を棄却した。中野哲弘裁判長は「選手は契約を結ぶ際に、プロ野球選手としての氏名や肖像を球団が独占的に使用することを認めている」と認定した。
日本経済新聞2008年2月26日付朝刊・第42面)

まだ最高裁HPに判決文がアップされていないので、載ってからじっくり読むこととしたいが、記事から憶測する限りでは、原審同様、統一契約書の解釈として、「肖像権は選手に帰属する」but 「それらの権利の球団に対する独占的利用許諾契約が成立している」という構成で結論が出されたのだと思われる。


ゲームメーカーにしてみれば、無名の一般市民ならともかく、ある種の“パブリシティ・ライツ・ホルダー”であるプロ野球選手の氏名肖像利用権を、契約をもってしても自己に帰属させることができない、という結論には不満が残るだろうし*1、一方の選手側にとっても結論自体に不満が残るのは間違いないだろうが、これで、これまでの“慣行”に則って形成された取引秩序が一応は維持されたことを考えると、穏当な判決として評価されるべき、ということになるのだろう。


選手会宮本慎也会長は、

「米国や韓国では肖像権は選手に属するとの判決がある。今後の対応は早急に決めたい。」

というコメントを残しているようで、今後の展開は予断を許さないのだが、もし仮に、最高裁で判断が下されるようなことになれば、「ギャロップレーサー」以来のマーチャンダイジング業界における注目判決になるのは確実だと思われる。


生き馬の目を抜くような厳しい世界に身をおく人々の係争だけに、第一審で原告だった選手たちが、その時までに果たして何人「業界」に残っているのかは、保証の限りではないのであるが・・・。

*1:記事にもあるとおり、契約書の条項上は「肖像権のすべてが球団に属し」と明確に記されている。

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