投身自殺したキヤノンの研究職社員に対し、沼津の労基署が労災認定したというニュースが記事になっている。
この事件の特徴として挙げられるのは、
「男性の職場では午後10時以降の残業はできないようになっており、男性は深夜に自宅でパソコンで仕事をしていたという。男性側の代理人らがパソコンの記録などで残業時間を計算すると、06年10月31日から自殺直前の11月29日までの残業時間は263時間に及んだ。」
(日本経済新聞2008年6月14日付朝刊・第38面)
あくまで「代理人の主張」とあるから、これがそのまま労基署で認定されたわけではないだろうし、仮に遺族が、今後会社を相手取って訴訟を起こしたとしても、この時間数が残業時間として認められるとは思えないのだが、
「労基署対策」
の早め退社を強いられる社員がどういう目にあっているか、をあらためて世に問いかけた、という意味では、大きな意義のある事件だ、というべきだろう。
実のところ、筆者もこの計算方法(自宅のパソコンの記録等から所定外に労働した時間を割り出す方式)で計算してもらえるなら、月によっては、12×2(土日)×4+25(週/退社後5時間×月〜金)×4で200時間くらい行っても不思議ではない(これに職場での残業時間を足せばちょうど260時間くらいにはなる)*1。
で、そのうち、実際に残業代としてどれだけの時間分給料が支払われているか、といえば、お寒い限り・・・。
最近、「名ばかり店長」の話題がメディアを賑わしていて、残業代を支給する取扱いにした、なんて“明るい”ニュースが紙面を飾ることも多いのだが、個人的には、担当のルーチンワークに始まって、予算取りだの、会議運営だの、年次計画の策定だの、使えない「部下」の育成だの何だの・・・と、一人で何役もこなさないといけない(でも役職も“正規の”部下もいない*2)「名ばかり平社員」にも、もっとスポットライトを当てて欲しいものだと思っている*3。
ま、仮に、自分が命を落とすようなことがあれば、その時は遺族ががっぽりと会社から巻き上げてくれることを期待するのみであるが、個人的にはそうなる前に「労基署のお小遣い・アゲイン」か、文字通りの「完全裁量労働制」の導入を期待したい・・・。