「究極の国威発揚儀式」と、あちこちで揶揄する声もあがっている北京五輪。
“怖いもの見たさ”で、珍しく自分も開会式からじっくりと見てしまったのだが、確かに力の入れ方が伝わってくるパフォーマンスであった。
おそらく、今回の五輪は、日の丸をこよなく愛する人々にとっては、どうやってもフラストレーションがたまるものになってしまう可能性が高い。
メディアが現地の盛り上がりを客観的に伝えようとすればするほど、あまり仲の良くない隣国の選手の活躍のニュースに接しざるをえないことになるし、それを上回る活躍を期待しようにも、我らが日本選手団にはいまいち勢いがなく、いつもなら開幕直後まで煽りまくる各種メディアですら、今回は控えめな予想にとどまっている。
五輪プレビュー特集を組んでいる「Number」誌(709・710号)では、金9、銀5、銅10(計24)という予想を立てた上で、
「今回もそれほど悪い大会にはならないということも言えるのではないか。「苦戦」はアテネと比較してのものである。メダルの数が20台半ばだったとしても、この20年では悪いものではない。」*1
とコメントしているが、今自分がこのエントリーを書いている時点(9日)で、金メダルが固いと予測されていた谷亮子選手は銅メダルになってしまっているし、女子マラソンの野口みずき選手に関しても「一時入院」という不吉なニュースが伝えられている。
下手をすれば、“ソウルの悪夢再び”なんてことになっても、不思議ではないだろう。
となれば、五輪期間中あちこちで怨嗟の声があがることも容易に予想されるのだが・・・
4年に一度の大イベントとはいえ、所詮、これは本来、スポーツの世界で完結する話にすぎない。
メダルをたくさん取れば、サブプライム危機の余波を免れることができるわけではないし、選手たちが金メダルを日本に持ち帰ったからといって、企業の収益が劇的に改善されるわけでもない。
そしてそれは、どこの国にとっても同じことである。
そう考えていけば、これからの2週間ちょっとのフラストレーションも、きっと少しは緩和されることだろう(笑)。
国籍如何を問わず、選手たちの最上級のパフォーマンスに惜しみなく拍手を送り、隣国の少々過剰気味な演出も生温かい目で見守っていく。
「たかが五輪」なのだから、それでいいのだ。
・・・と、いつも熱くなる自分にも、自戒を込めて言ってみる(苦笑)。
*1:日本オリンピックメダル予想委員会「主要競技真剣順位推測」Number709・710号109-110頁