特許庁はサービス機関か?

新聞にこんな記事がさらっと載っていた。

特許庁は、特許の出願申請をする企業や個人、大学などの要望や苦情にこたえるため、2009年3月末にも庁内に顧客対応・業務改善推進室をつくる。ホームページなどを通じて届く特許利用者の声を集め、庁内の各担当に迅速に伝達。業務の改善結果は利用者に直接報告する。公務員への風当たりが強まるなか、「サービス機関」の意識を徹底する狙いだ。」(日本経済新聞2008年8月15日付朝刊・第5面)

そういう時代なんだろうが、特許庁はそもそも「サービス機関」なのか?という素朴な疑問はどうしても湧いてきてしまう。


大体この種の窓口を開設したときに寄せられるのは、

「俺様の出願が何で特許になんねえんだよぉ、ゴルァ!」

的などうでもいいような話ばかりだと思うのだが、そこで「お客さま」の声を聞いて懇切丁寧に対応し*1、場合によってはお情けで登録査定をくれてやる、なんてことが“サービス”として行われるようになってしまうのであればたまったものではない。


特許庁はあくまで出願された発明が登録要件を満たしているかどうかをルールに照らして厳格に審査して、権利を設定するための機関であり、それ以上でもそれ以下でもないだろう。


もちろん、個人、団体問わず、立法や審査運用に関する提言を行えるような窓口はあった方が良いと思うし、今回の窓口創設にもそういう意図が込められているのであれば、一応評価には値する。


だが、そうであれば、“顧客対応”という中途半端な名前より、もっとふさわしい看板があるはずだ。


そして、何よりも・・・


チマチマした御用聞きに手間隙をかける余裕があるなら、審査のスピードと精度をもっと上げてくれ! というのが、全ての特許庁ユーザーの思いではないだろうか。


小手先だけの看板で、重要な問題を覆い隠すようなことにはなってほしくないものである。

*1:単に丁寧に対応するだけならいいのだが、そこで発明家に対して下手に期待を持たせるような対応をされると後々世の迷惑になる

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