「ネット法」の真の効果?

派手に打ち上げられたアドバルーンのターゲットとされた人々が、それに対抗するため新しい打開策を打ち出し、それによって事態が改善する、というのはよくある話であるが、今回もそういうパターンになるのだろうか?

「インターネットを通じたテレビ番組の配信を拡大するため、著作権を持つ番組出演者らによるルール作りが前進し始めた。「日本音楽事業者協会音事協)」など芸能三団体は5月にも、新たな機構を設立。著作権料収入の配分方法などを決めたうえで、2010年春にも新機構がネット事業会社からの配信許可申請を一元的に処理する仕組みを導入する。実現すれば、映像のネット流通に追い風になる。」(日本経済新聞2009年4月15日付朝刊・第11面)

著作権というよりは、著作隣接権の話だろうと思うのだが、いずれにしても、これが、「ネット法」による“許諾権はく奪”の回避、を目的としたアクションであるのは間違いない。


実際、新たな権利集中機構により一元的な処理が可能になれば、これまでネット配信が進まない“言い訳”とされていた、「権利処理のコスト」の問題は大きく緩和されるわけで、下手な議員立法でいびつな制度が導入されるよりはマシ、という考え方もありうるように思う。


もっとも、この手の集中管理に関しては長年の実績があるJASRACでさえ、利用料配分等の問題がいろいろと指摘されて久しいし、一番便利なシステムだった包括利用許諾も公取委によって排除勧告を出されるに至っているのだから、今回記事になっているような海千山千の世界で、スムーズな“一元処理”が軌道に乗るかどうかは怪しいところではあるのだが・・・。


「ネット法」ができるのが先か、それとも実演家団体が巻き返すのが先か。


フェアユースの話と並んで、今年の著作権業界の注目すべき話題となるのは間違いない。

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