17日間の長きにわたったバンクーバー五輪。
最後の最後にきて、田畑真紀選手率いるスピードスケート女子パシュートチームが銀メダル、クロスカントリーで石田正子選手が5位入賞、と、密かに推していた選手たちが、実力に相応しい結果を残してくれたのは何よりであった*1。
特に田畑真紀選手は、名門富士急スケート部の門を叩いて、大先輩・橋本聖子選手(現・団長)とともにリレハメル五輪に出場したのを皮切りに、長きにわたって世界の第一線で活躍してきた、我が国随一の“オールラウンダー”。
岡崎朋美選手と比べたらまだ“若い”のかもしれないが、そうはいっても、筆者と同世代。アスリートとしては“立派なペテラン”の域に入っている選手だけに、こういう形で長年の努力の積み重ねに日が当たることになった*2のは喜ばしい限りである*3。
本音を言えば、パシュートの決勝戦は、穂積選手がゴール寸前でもっと思い切って足を前に出していれば*4(あるいは準決勝で疲労が蓄積されていた、穂積、小平選手のいずれかと交替できるレベルの力のある選手が日本チームにいれば)、0.02秒差で負けることはなかったと思う*5。
石田選手にしても、あわよくばさらに上を狙える力はあっただろうし、そうなれば各種メディアにも、もう少し大きな取り上げられ方をしてもらえたかもしれない*6
だが、何だかんだ言っても、能力のある選手が、今回の五輪で然るべき結果を残したのは事実。
長野五輪以降の冬季五輪で、日本勢がイマイチぱっとしない、という状況が長く続いていたことを考えるなら、これ以上の凋落を防ぐためのカンフル剤として、今回の五輪の結果が後々利いてくる・・・そんな気がしている。
*1:自画自賛になるが、開幕前のエントリーを参照されたい(笑)http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100213/1266043013。
*2:パシュートという競技自体が、スピードとスタミナを両方要求されるオールラウンダー向きの競技で、この競技が彼女の現役生活中に公式種目として採用されたのはある意味幸運だったのかもしれない。
*3:能力的にピークを迎えていたと思われる2000年前後には、世界選手権や距離別選手権で表彰台に上るくらいの活躍をしていただけに、長野五輪前のアクシデント(大会直前に骨折して無念の出場辞退)さえなければ・・・というのが、惜しまれるところではあるが。
*4:タイムの測定方法が微妙に変わったのか、今大会は短距離を中心に、ゴールする瞬間に思い切って足を出す選手が異常に増えたような気がする。
*5:準決勝のポーランド戦でも最後の1周くらいはだいぶ差を詰められていて、あわや・・・の可能性もあったから、より力のあるドイツ相手にひっくり返されても文句は言えないんだろうけど。
*6:もっとも、渾身の力走をした日が、パシュートの決勝の日と重なってしまった、という偶然こそが、彼女の最大の“悲劇”だったのかもしれないけど。