棚から牡丹餅か、それともババ抜きの残り札か・・・

ここに来て、世を賑わせるような不祥事を引き起こした組織が、本来“門外漢”であるはずの部外の人間をトップに据えて、立て直しを図ろうとする、という動きが目立っている。


賭博問題やら何やらで、表に出られなくなった親方衆に代わって、外部理事から理事長代行に就任した村山弘義氏しかり、創業者と現社長の逮捕という異例の事態を受けて、社外取締役から日本振興銀行の新社長に就任した江上剛こと小畠晴喜氏しかり・・・。


小畠氏の場合は、元々銀行で支店長まで務めた方だし、社外取締役とはいえ取締役会議長というポジションで組織に接していた方だから、緊急登板でも何とか形は保てるのかもしれないが*1相撲協会の方はもう何というか・・・。


予期しなかったアクシデントによって、本来、立ち得なかったポジションに就く機会が生まれる、というのは、一般的には幸運なこと、というべきなのかもしれない*2


だが、村山氏に対しては、就任以降ずっと協会内部から足を引っ張るような動き*3が出ているようだし、小畠氏にしても、組織そのものの行く末がかなり危うい状況で社長に就任したことで、作家としてこれまで築いてきた名声が傷つかないという保証はない*4


もちろん、危機的状況下でトップに立った人に対しては、世間の目は同情的ではあるし*5、部外の人間がトップに立ち、それで万が一組織が立て直されるようなことになれば、新たな「伝説」が生まれて、将来的には本業でもプラスに働く、ということにもなりうるから、そこは全くの“ババ”というわけではないと思うのだけれど。



ちなみに、会社の中で自他ともに認める専門職として生きていくとなれば、自分のやりたいことをある程度貫ける反面、ピラミッド組織の頂点に立てる可能性は低くなる。


仮に、間違ってトップに立つようなことがあるとすれば、主流の事業部門で大不祥事が起きて、それ以外のところからトップを抜擢するような必要に迫られた時くらいだろう*6


そういった状況下で、最初から歯牙にもかけずに自分の職責のみを全うするか、それとも、“万が一”に備えて、経営のかじ取りができるような最低限の「準備」くらいはしておくべきか。


ここ1週間の一連のニュースを見ながら、そんなことを考えていた次第である。

*1:それでも、こんな不祥事さえなければ、小畠氏がトップの地位に就く可能性はなかったのは事実だろう。

*2:わらしべ長者」だって、屋敷の主人が失踪しなければ、屋敷を手に入れることはできなかったし、それが成功譚として語られることもなかっただろう。

*3:名古屋を離れて東京で仕事をしたことを問題視するような報道が出てくる背景に何があるのか、単純に反応する前に、いろいろと考えてみる必要があると思う。

*4:一昔前には、某大手電機メーカーの危機を受けて社外取締役から会長に就任したジャーナリストなんてのもいたが、散々週刊誌でバッシングを浴びて退任した後は、すっかりメディアで見かけなくなってしまった。

*5:相撲協会の場合、外部の人間が(暫定的とはいえ)トップのポジションに就くことに対して、世論が二分されている(特に良く分からないかの業界の“伝統”なるものに愛着を感じている人々にとっては、一連の「改革」は許し難いこと、ということになるらしい)、という点にも特殊性はあるのだが・・・。

*6:それでも、経理とか人事ならともかく、法務部門から抜擢、なんて話は大きな会社では聞いたことがないのだけれど(苦笑)。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html