優勝直後の異常な盛り上がりぶりからして、もしかしたら・・・と思ったが、やっぱり、というべきか、案の定、というべきか、サッカーの女子日本代表チームに「国民栄誉賞」が贈られる、という話に相成った。
確かに、女子とはいえ、サッカーは世界のスポーツ。
全ての大陸にナショナルチームがあり、厳しい各大陸の予選を勝ち上がったチームのみが参加できる、という構造は男子のそれと変わりはないし、欧州、北中米、南米とそれぞれ独自の歴史と伝統を持つ各大陸のチームがしのぎを削っている、というところも同じだ。
そこで日本のチームが勝ち切って頂点に立った、ということには、WBCの日本代表やソフトボールの女子代表チームの“金メダル”とはまた異質の価値があるわけで、過去の受賞者と比べても、受賞対象となった功績の価値が、決して見劣りするとは思えない*1。
だが・・・
国民栄誉賞、というと、どうしても支持率を稼げない政権が、人気取りのために行う表彰、というイメージが強いわけで、特に、没後受賞以外の表彰には、いろいろと勘繰りたくなる要素が出てきてしまう。
特に騒がれたのが、最初から最後まで不人気だった森喜朗首相の時に、シドニー五輪で優勝した高橋尚子選手が受賞したとき。麻生太郎内閣下でも、森光子さんへの授与は、???という反応が結構あった。
正直、「国民栄誉賞もらった人はすごいね」と思う大衆は多くても、「国民栄誉賞あげた内閣はすごいね」と思う人は大していないだろうから*2、勘ぐられるほどの意味はない、と思うのだけれど、今回も歴史的な不人気政権の下での授賞となっただけに、あれこれ言う人が出てきてしまうのも仕方ないところだろう。
普段メディアの意地悪な取材攻勢に晒されてロクな絵を撮られていない首相にとっては、表彰式等で今が旬の女子選手たちに囲まれて、にこやかに記念写真に収まる、という、ある種のShowの機会自体が貴重なのも間違いないだろうし。
巷には、まだあの優勝の余韻が残っているようで、再開後のなでしこリーグの様子は毎週報道されているし、会場でもこれまでにない観客動員を記録している試合が、いくつかあるようだ。
それに加えて、文部科学大臣が女子プロリーグへの助成拡大を仄めかしたりなんかもしている。
これまで逆風に堪えて高い競技レベルを維持してきた、そんな業界に訪れたまたとない好機だけに、今回の偉業が、日本女子サッカーに更なる伝統を築きあげていくための第一歩になれば言うことはないのだけれど、このまま行くと、“国民栄誉賞をもらうまでの一過性のShow”のまま終わってしまうような気がして・・・。
その辺が気になるところである。