状況が二転三転した末に、結局は最初に手を挙げた人に落ち着いた、という感のあった、民主党新代表、新首相選出劇。
コメントする機会を逸してしまったなぁ・・・と思っていたら、週末になって興味深い記事が出ていたので、ここでエントリーを立てておくことにしたい。
「日本経済新聞社とテレビ東京は2〜3日、野田政権の発足を受け、緊急世論調査を実施した。内閣支持率は67%だった。7月末の前回調査の菅内閣支持率19%から48ポイント上昇した。」
「民主党の支持率も36%に回復し、自民党を逆転した。」
(日本経済新聞2011年9月4日付け朝刊・第1面)
確かに、これまで何度も代表候補に名が挙がりながら機を待って裏方で汗をかき続けた経歴や、副大臣、大臣として大きな失策もなく財務省を切りまわした実績、そして、過去2人の総理経験者のエキセントリックさとは対極にある、いかにも安定感がありそうな風貌、と、新首相が人気を集める要素は揃っていたのは間違いない*1。
だが、政務三役や内閣の顔ぶれを見れば、そんなに極端に代わり映えするメンバー、というわけでもないし*2、党内事情も、“脱小沢”に舵を切った菅内閣発足時から、そんなに大きく変わったわけでもない。
それにもかかわらず、内閣支持率は一気に70%近くまで跳ね上がり、挙句の果てには政党支持率まで自民党を逆転してしまった、というこの“異常事態”をどう理解すればよいのだろう?
菅内閣の支持率が低かった、といっても、それは結局、菅直人という人物の揺れ動く言動と、その周りの子供じみた足の引っ張り合いに皆嫌気がさしていただけで、民主党政権に対する期待感自体は、2009年秋の時点とそんなに変わらず大衆の心の中にまだ残っている、というのが一つの仮説、ということになるのだろうが*3、それにしても、ちょっと振れ幅が極端すぎる。
個人的には、新しい内閣がこのまましばらくこの高支持率をキープして、山のように積み上がった、待ったなしの政策課題(特に震災後の諸々の処理)を迅速に進めてくれるのであれば、それに越したことはないと思っているし、そのことが結局、古い政治の体質、古い自民党の体質を一掃して、健全な二大政党制に移行する一番の契機になるのではないか、と思っているのだけれど、政権発足後1〜2週間も経てば、週刊誌のみならず地上波ニュースや一般紙にまでゴシップ記事が飛び交う昨今の情勢を考えると、果たしてそんな前向きなストーリーが描けるのかどうか。
ちょっとしたことで「支持する/しない」を切り替えてしまう、飽きっぽい“世論”に、安易な態度変更を許さないような明確な実績を短期間で出せるなら、実に素晴らしいことだと思うのだけれど、ここはひとまずお手並み拝見。自分の中では今、そんなムードである。