「4つの選択肢」の行方〜出版社への権利付与をめぐる議論の本格的な始まりを前に。

昨年11月に「印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会」(通称・中川勉強会)から、著作隣接権に関する議員立法の骨子案が公表されて以降*1

経団連の「電子出版権」創設提言(平成25年2月)
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20130219/1362335830
中山信弘教授らによる「出版権の拡張・再構成」の提言(平成25年4月)
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20130405/1365270170

と次々と新しい対抗提案が出され、ネタとしては出揃った感がある「出版者に対する権利付与」問題。

そして、とうとう、文化審議会著作権分科会の下に「出版関連小委員会」が設置され、立法に向けた本格的な検討が開始されることになった(http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2013/chosaku_shuppan_130508.html参照)。

14日付けの日経朝刊に掲載された記事では、

文化審議会は13日、電子書籍海賊版を巡り、著作権者に代わって出版社が提訴できるようにするなど新たな対策を検討する小委員会の初会合を開いた。」
「小委員会は今秋にも中間報告をまとめる見通し。政府は報告を踏まえ、早ければ来年の通常国会での著作権法改正案の提出を目指す。」(日本経済新聞2013年5月14日付け朝刊・第38面)

と、相当早いピッチで審議が進められることをうかがわせる感触まで報じられている。

そもそも「権利を付与する」ことが妥当なのか、という点に疑問を感じつつも、背後に“議員立法”の陰がちらつく以上、“あわよくば継続審議”的な悠長さはもはや期待できない → 少しでもまとめられるようであれば、それでやるほかない”と思っている方は多いことだろう。

これまで散々「スピード感が乏しい」と批判され、その結果が、“あわや議員立法”の手前付近まで行ってしまった、ということだったと考えると、今度は文化庁の審議会事務局も、より本気度を上げて取り組んでくることは間違いない。

・・・で、そうなると、気になるのは、審議会の場で「何が審議されるのか?」ということだ。

日経の記事によると、文化庁は、小委員会での議論を行うに際して、

(1)著作隣接権の創設
(2)出版権の整備
(3)訴権の付与
(4)契約による対応

という4つの選択肢を示して議論を行うつもりのようだが、↑の選択肢の中には、「訴権の付与」のように現実にできるのか?というものもあるし、「著作隣接権」案も、既に中川勉強会が中山提言を支持するスタンスを明確にしてしまっている以上、現実的に支持する勢力はほとんどいなくなったのではないかと思う。

そして、残されたものの一つ、「契約による対応」についても、出版社側からは反発が強いであろうことは、垣間見えるこれまでの交渉経緯からも、もはや自明の理、といえるところ。

結局、「出版権の整備」しか、無難にまとめられそうな提案はなくそのままに近い形で中山提言が採用される、という展開は、大いに予測できるところなのだが・・・。


個人的には、「出版権の拡大(新設)」というアプローチには、まだ解せないところも多く、今の方針のまま、実務で使えるようにするための法改正をする、という話になってくると、大丈夫かなぁ、という不安がないわけではない。

それゆえ、“出口”をあまり過度に意識せずに、、ふさわしい制度設計に関してじっくり議論する、というプロセスが本来不可欠なのであるが・・・。

とにもかくにも、“はじめから結論ありき”のような流れで、変な方向に進んでいかないよう、外野の人間としては、まずはじっくり見守ることにしたい。