強さの証明。

4年前に「もう少しちゃんと見ておけばよかった」とほんのり後悔した記憶はまだ生々しいのに、気が付けば怒涛の日々の中で、サッカーの女子ワールドカップが、はや準々決勝まで進んでしまった。

それまでなかなか試合をきちんと見られていなかったので、週末にカードが組まれた時くらいはちゃんとライブで見届けよう、と思っていたのだが、残念ながらこの日も、気が付いたらスコアボードに「1−0」の数字が刻まれ、岩渕選手の執念のゴールがダイジェストで繰り返しリピートされている・・・という状況。

同じような環境にあっても、1年前のちょうど今くらいの時期には、ブラジルで行われていたW杯をほぼ全試合ライブで見ていたことを考えると、体を張って頑張っている女子代表選手たちには、申し訳ない気持ちでいっぱいである*1

巷では、“女子のサッカー見ても面白くない”という声もちらほら聞くのだけれど、戦術を超越したずば抜けた「個人技」がまだ生きている女子サッカーの試合には、ともすれば没個性的で退屈な試合になりがちな男子の試合とは一味異なる面白さがあるのであって、この先、日本代表が決勝まで勝ち残ろうが残るまいが、せめて最後の4試合くらいは、きちんと見届けないと・・・と、今は思っている。


それにしても、今年に入ってからのアルガルベ杯での戦いぶり等を見ていた当時、今回もW杯本番で「ベスト4」という結果を残せるとは、自分は夢にも思わなかった。

もちろん、“前回のチャンピオン”という立場で大会に臨むわけだから、メディアが「連覇」と囃し立てるのは分かっていたし、グループリーグの組み合わせからすれば、さすがに決勝トーナメントくらいには進出できるだろう、と思ってはいたのだが、現時点での客観的なチーム力からすれば、決勝Tの1回戦や準々決勝くらいで早々に姿を消しても、決して文句は言えなかったはず*2

それが、決勝トーナメントに入ってから徐々に調子を上げて、準々決勝では曲者オーストラリアを見事に完封。
課題だった「世代交代」も、グループリーグでの菅澤選手の得点や、準々決勝での岩渕選手の見事な決勝ゴールなど、監督の采配とうまくかみ合って成果が見えつつある。

男子だったら相手の勢いに泡を食ってそのまま試合をひっくり返されるような展開に陥ったとき(カメルーン戦など)や*3でも、最少得点差を最後まできっちり守り切るし、男子だったら“決定力”の不足によりそのまま引き分けて終わってしまいそうな展開に陥ったときでも、最後にはきっちりと得点差を付けて勝つ。

これが、W杯金メダル、五輪銀メダル、という実績を積み重ねてきたチームとしての「自信」に根ざしたものなのか、それともそれ以外の要素があるのか、ということは、競技者ではない自分にはよく分からないところではあるのだけれど、“試合運び”のナイーブさが常にやり玉に挙げられる男子代表と比べると、その差は歴然としている。


おそらく、次のイングランド戦は、日本代表にとっての相性の悪さ、という点でも、相手チームの現時点での充実度合い、という点においても、これまでの相手と比べると数段骨が折れる戦いになることは間違いなく、今度こそ「ここで終わり」という展開になることは十分考えられるわけだが、それでも“負けてなお強し”という戦いを繰り広げてくれることを期待しつつ、あと数日、その時を待つことにしたい。

*1:もちろん時差の関係で、見たくても見られない時間帯に試合が行われていることが多い、というのも、理由の一つではあるのだけれど。

*2:開幕してグループリーグの戦いに入ってからも、スコアだけ見ても冷や汗が出るような試合ばかりで、過度な期待を寄せられるようなチーム状態だとは思えなかった。

*3:昨年のコートジボワール戦の記憶は、未だ生々しく残っている。

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