春のG1を2連勝した時には「向かうところ敵なし」の印象が強かった今年のキタサンブラック。
シーズン前半を締めくくる宝塚記念でも、ライバルはほとんど春のレースで叩きのめした馬ばかりで、単勝1.4倍、という圧倒的な支持率を背に、新設された「三冠ボーナス」2億円をかっさらって伝説に昇華する・・・はずだった。
それが、中途半端な先行策の末、最後の直線でも明らかに伸びを欠き、最後は馬群に沈むまさかの9着惨敗。
ボーナスはおろか、「ここから凱旋門賞へ!」という話も一瞬にして吹っ飛ぶことになってしまった。
優勝したサトノクラウンをはじめ、復活したゴールドアクター、3着に食い込んだミッキークイーン、と、上位馬は皆、重・不良馬場実績のある馬ばかりだったから、昨日からの雨で渋った馬場が思いのほか勝敗に影響した可能性はあるのだが、それにしても明らかに負け過ぎ、なわけで、これで故障でもない、というのであれば、鞍上の武豊騎手が首をひねったのも無理はない。
大きなG1を2つ勝っても、去年の秋になるまで1番人気に支持されたことのなかった馬が*1、G2戦でも経験したことのないような高支持率で支持されるようになったところで、こんな落とし穴があろうとは、だから競馬は難しい、ということになるのかもしれないが、様々な皮算用が打ち砕かれた関係者の気持ちを思うと、何ともやりきれない気持ちになってしまう。
なお、キタサンブラックが負けても、同じ5歳のサトノクラウンが優勝する、というところに、今の5歳世代の世代としての底力*2を感じる一方、クラシックを制覇した馬がどれも出走せず、代役として浮上したシャケトラ、レインボーラインも馬券には絡めない現4歳世代の不振は深刻であるように思える*3。
この「世代間格差」がこのまま維持される形で秋を迎えることになるのか、それとも、今回のキタサンブラック王座陥落をきっかけに、また新たな下剋上の時代が始まるのか、今から見通すことは不可能だけど、神話大好きな筆者としては、もう一度、今度は「奇跡の復活劇」的なドラマもまた期待したいところである。