最強の証明

戦前は「2強」対決として注目されていた春の天皇賞だったが、終わってみれば、大阪杯に続きキタサンブラックの強さばかりが目立つ決着となった。

ヤマカツライデンが大逃げを打つところまでは想定どおりだったのだが、最初の1000mが58秒3、という長距離戦とは思えないようなハイラップで、しかも、スタートからすんなり2番手に付けたキタサンブラックも控えることなく追走して早いペースを刻み続けた、という展開は明らかに想定を超えていたはず。

それでも、4コーナーを回った時点でキタサンブラックに後ろから差されるような雰囲気は微塵も感じられなかったし、実際、最後の直線の攻防も空しい2着争いまで。
5つ目のG1タイトルに、「3分12秒5」とディープインパクトの記録を1秒近く塗り替える日本レコードで華を添えたことで、名実ともに「日本最強」の地位を確固たるものにしたキタサンブラック陣営にとっては、これ以上ないレースだったといえるだろう。

逆に、他の陣営にとっては屈辱しか残らない。

スタートで後手を踏んだシャケトラやゴールドアクター、さらに前が止まらない展開の中で後方待機策が裏目に出たレインボーライン等は、まだ敗因が分かりやすいだけに切り替える余地はありそうだが、いつも通り好位置からの差しで有馬記念の再現を狙ったサトノダイヤモンドは完全な力負け。

しかも、最後の直線で他の馬と脚色が一緒になってしまい、前走(阪神大賞典)で完全に勝負付けが終わっていたはずのシュヴァルグランにまで後塵を拝することになってしまった*1

最後の直線に坂のあるコースなら、とか、もう少し短い距離で勝負すれば、とか、前向きに考えようと思えばできないことはないのだが、昨年の時点で「史上最強」の呼び声が高かった3歳世代(現・4歳世代)の「3強」が、同じ斤量で走るようになって以降、古馬勢に土を付けられ続けている状況はやはり深刻なわけで、ここからさらに成長曲線を描いて宝塚記念以降、互角な戦いを演出できるのか、それとも、キタサンブラックが引退するまで脇役の座に留まるのか。これからしばらくの間、気をもむことになりそうだな、と思っているところである。

*1:さらに言うと、4着のアドマイヤデウスとの攻防もかなりきわどく、あわやの大波乱を演出しても不思議ではない状況だった。

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