起きなかった波乱と新たな時代の象徴と。

桜花賞で豪快な差し切り勝ちを決め、一躍3歳牝馬世代のセンターポジションを勝ち取ったアーモンドアイ。

あれから1カ月ちょっとの間には、筆者も含め、「父がマイル・スプリント路線のロードカナロアだから、距離が伸びるオークスではそうはうまくいかないよ。」というひねくれ玄人チックなコメントも飛び交ったのだが、本番のレースではそんな雑音も見事に封印されてしまった。

比較的早いペースで流れた道中、いつになく前の方に付けてどうなるかと思ったら、再び上がり33秒2の脚を炸裂させるんだから、その後ろの馬たちの脚が届くはずもない。

勝ちタイム2分23秒8は、ジェンティルドンナレコードタイムにコンマ2秒と迫る好タイムで、後続には2馬身差の快勝。
単勝1.7倍という人気を冷ややかな目で眺めていたひねくれ者には、何とも痛恨の結果となってしまった。

そして、個人的に輪をかけてショックだったのが、今度こそ、と思っていたラッキーライラックが、桜花賞3着だったリリーノーブルすら交わせずに3着に敗れたこと。

直線で石橋脩騎手が追い出した時の一瞬の勢いだけは「おっ」と思わせるものがあったのだが、父譲りの不器用さゆえか、あるいは、こちらが本当の「距離の壁」か、どうにも伸びきれず、うまく立ち回った上位2頭との差がむしろ際立つ結果になってしまった。

ロードカナロアルーラーシップというキングカメハメハの血を引く種牡馬たち(非サンデー系)の子供たちが1、2着を占め、サンデー系のオルフェーヴル産駒が3着、そして、ディープインパクト産駒は2年続けて馬券に絡めず、という今回の結果は、最近の血統の潮流も見事に象徴するような話にもなっているわけで、来週のダービーの結果によってはこの流れがより色濃くなるかな、とも思っているのであるが、今はとにかく、春、これだけの強さを見せたアーモンドアイ、そして、その脇を固めた「牝馬クラシックトップ3」が無事夏を越して、秋、再び対決できるようになることを願うばかりである。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html