今日のCOVID-19あれこれ~2020年4月3日版

日々刻々と増えていく感染判明者数が、今日初めて300人を超えた。

街中の光景を断片的に切り取れば、それまでと変わらないような他愛ない日常は各所にまだ存在しているが、ちょっと前までは「小さな日常の巨大な集合」で構成されていた都心部においてすら、そんな光景は今や「点景」でしかない。

今週もいろいろと大きな動きはあったが、その中でも一番大きかったのは、「塚田農場」で知られる㈱エー・ピーカンパニーが31日に出したリリースをきっかけに、あっという間に広がった「飲食店臨時休業」の動きだろう。

昨日は、鳥貴族と串カツ田中HD、そして今日は一家ダイニング、チムニー、ハブ、ホリイフード、ヴィアHD・・・。

こうした環境下であっても当社店舗をご利用いただいているお客さまの思い、商品の販売先がなくなる生産者の無念を鑑みますと、洵に断腸の思いでありますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」(強調筆者、以下同じ)

という言葉で締めくくられる㈱エーピーカンパニーの開示文書から伝わってくる無念の思い*1と、そこに記された首都圏店舗の「20日間休業」(2日~21日まで)、他道府県の店舗もすべて一定期間休業、という対応のインパクトがあまりに大きかっただけに、その後出てくるリリース(期間は長くても12日まで、となっているものが多いし、対象店舗も首都圏に限られているものが多かったりする)は、もはや読み流すしかなかったのだが、それでもこれだけ次から次へと出てくると、やはりただ事ではない、という状況は十分伝わってくる。

そして今は、現時点で「12日まで」としているチェーンも、来週になれば、「第2報」「第3報」を打たざるを得ないような状況になることは明々白々なだけに、同じタイミングで「臨時休業」を発表したコシダカHD、ラウンドワンといったレジャー系産業と並び、この業界が今回いかに割を食っているか、ということに思いを向けずにはいられない。

とはいえ、これも一つの経営戦略。

巷からは「生きるために営業する」といった個人経営飲食店の声なども聞こえてくるのだが、固定費はもっぱら賃料と水光熱費で、あとは仕入れと売り上げのバランスがカギになる個人経営のお店と、比較的規模が大きく店舗も多数展開しているチェーン店とではコスト構造が根本的に異なる。

そして、後者の場合、最大のコスト要因は人件費だったりもするから、今のような客の入りが悪い状態(しかも、この先当面は改善が見込めないような状態)で、無理に営業を続けずにバッサリ休業させてしまう、というやり方は極めて合理的なわけで、単純に「かわいそう・・・」と同情を寄せられるだけの話ではない*2

今のような状況下では、傷を広げないことが何よりも大事なわけで、まだ少しでも余力があるうちに、とにかくコストを切り詰めて嵐が過ぎるのを待つ。
それがもっとも現実的な対応であることは、言うまでもないことだから・・・

もちろん、それぞれの店に贔屓客、常連客もいる中で、バッサリと「止める」決断をせざるをえなかったそれぞれの経営者の思いには目を向けざるをえないし、いつか「平時」が戻ってきたときには、そういう思いに応えるのが、しがない一消費者にできる唯一のことなのだが、残念ながらそれはもっとずっと先の話になりそうである。


最初に感染爆発が起きたのはお隣の国中国、そして、国内で最初の感染者が見つかったのも随分早い時期だったのに、ここまで日本は、医療崩壊も起こすことなく、欧米の凄惨な状況を横目に、”こんな時でも普段通り”という状態をある程度残せるくらいのレベルで未知のウイルスを抑え込んできた。

だが、全国各地で局所的な「クラスター」を超え、常識的なレベル感を超えて一気に感染が広がり始めてきた今、「今思えば『抑え込んでいた』と思えてた時期が幸せだったな」ということになってしまいそうな状況は、もう目の前に迫っている。

「いつになれば完全に収束するのかすら分からない」、「状況が好転するタイミングの見通しを立てることさえ難しい」という状況ゆえ、対策を講じる範囲を「小出し」にして、最初の期限が近付くと、再度、次の対策で先延ばしにしてしのぐ、というのがこれまでの基本的なやり方だったわけだが、その繰り返しで無駄に世の中のコストを増やす前に、長いスパンで必要なものとそうでないものをバッサリと整理する、その代わりに腰を据えて長い耐久戦に臨む。そんなタイミングになっているような気がする。

収束は早くても7月。そして、実質的に新しい年度が始まり、いろいろなものが動き出すのは9月からかな、というのが自分の見立て。

できればよい方向に外れてくれることを願いつつも、それまでしのぎ切る準備はしておこう、と、今は心に決めている。

*1:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200331487930.pdf

*2:賃料にしても、今、支払猶予を求められて「拒否する、さっさと出ていけ」とばっさり言いきる勇気がある家主はそうそういないから(今は代わりのテナントを探すのもままならない状況だから・・・)、交渉した結果、猶予、減免になるケースは決して少なくない状況だと思われる。

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