長らく競馬場はもちろん、WINSまで閉鎖をし続け「無観客&ネット販売オンリー」の先端DX施策を貫いていたJRAだが、今月に入って遂にWINSでのメインレースの発売を再開。さらに2週間様子を見た上で、来週からは特別戦まで対象を広げて販売する、ということで*1、いよいよ「解禁」に向けて一段踏み込んだ手を打ってきた。
先週から今週の土日の売上を見る限り、WINSでのメインレースの発売を再開したところで売上に大きな変化はなく、むしろメインレースに関しては対前年を割り込んだりもしているから、ここまでインターネット投票が定着した現在においては、営業的に決して得な施策とは言えないような気もするのだが*2、これから牡馬、牝馬共に三冠がかかっている3歳GⅠの最終戦だったり、いつになく豪華なメンバーになるはずの古馬GⅠシリーズ*3が予定されている中で、「みんなでレースの盛り上がりを味わいたい」という人もいるはずだから、ファンの裾野を広げる、という意味でも、「売れてるからこのままでいいじゃん」というわけにはいかなかったのだろう。
もっとも、「WINSで馬券が買える」といっても、今はその場でレースの映像まで見届けられるわけではないし*4、仮に競馬場に入場できるような状況になったとしても、いつものように声を張り上げて叫ぶ、ということは到底許されそうにない。
なけなしの金を賭ける以上、どんなに美しい光景が眼前に広がっていてもそこは鉄火場なわけで、貴族のような上品な振る舞いなどもってのほか。
目の前の、長いのか短いのか分からない400メートル±アルファを馬たちが駆け抜けていく瞬間に、ありったけの力を込めて握りしめた馬券に印字された馬(or その鞍上の騎手の)名を叫び、勝てば渾身の力を込めて歓声を上げる。負ければ(馬ではなく)騎手に人に聞かれたくないくらいの罵声を浴びせる・・・。
それが競馬というものだと刷り込まれて育ってきた一ファンとしては、それゆえに平時に戻るまではちょっとな・・・と思ってしまう状況ではあるのだが*5、たとえサイレントな世界だったとしても、磨き上げられた馬体が芝に映え、手に汗握る攻防を経て勝者も敗者も美しく輝くのが目に映る光景だったりもするから、それはそれとして楽しんでいただく方がいても良いのかな、と思うところではある。
ちなみに、かくいう自分も、投資としては決して芳しくない結果ながら*6、昨秋「次元の違う走り」と多くのファンを驚嘆させていたリアアメリアがローズSで華麗なる復活を遂げたシーンを、そして、東のセントライト記念で、典型的な夏の上がり馬・バビットがまたしても逃げの一手で4連勝を遂げたシーンを眺め、それぞれが決戦の舞台で「無敗」の二冠馬とぶつかる姿を想像できただけで満足してしまったところはあったので、単に美しい勝負を見たいだけの人種なのかもしれないが・・・。
この週末も白熱した戦いが繰り広げられたリーディング首位争い*7をはじめ、「無観客」の間にも着々と、凝縮された様々なドラマが今年も展開されているだけに、観客を入れるにせよ、入れないにせよ、ここからの盛り上がりに水が差されないことをただ願うばかりである。
*1:【!】9月26日(土曜)以降のパークウインズ・ウインズ等の制限付き営業 JRA参照。
*2:理由はよくわからないが、リアルな財布からお札を取り出す時には、ネット上でボタンをクリックする時ほどの勇気を発揮できない、ということなのかもしれない(苦笑)。
*3:何といっても今年の秋は、まだ海外遠征もままならない状況だから・・・。
*4:自分は全く足を運んでいないのだが、14時には追い出されるようだから、「さっさと帰って結果は家で見ろ」ということなのだろう。
*5:これは競馬観戦に限らず、プロ野球でもJリーグでも同じだろう、と思うわけで「声出し禁止」の観戦のために入場料を払う感覚は、自分にはちょっと理解できなかったりもする。
*6:今週は3日連続開催で、しかも21日は「JRAアニバーサリー」ということで配当還元率アップの恩恵にもあずかることができたはずなのだが、見事に空振り。勝負よりも自分の愛馬への夢を優先して馬券を買ったがゆえでもあるのでしょうがないといえばそれまでだが、まだまだ修行が足りないな、と。
*7:19日にルメール騎手が中山で3勝して差を広げたと思いきや、中京での直接対決となった20日は川田騎手が未勝利のルメール騎手を尻目に、メインのローズS含む4勝を挙げ巻き返し。21日は中山でお互いが3勝ずつ挙げ、結果、141勝対131勝。まだまだ先は分からない展開となっている。