これが本当なら何を信じればよいのだろうか。

数か月前に、この会社が絡んだインサイダー取引の嫌疑が報じられた時もどうなんだ、と思ったが、今回はさらにその上を行く衝撃、である。

アイ・アールジャパンHDのリリースより。

www.nikkei.com

「当社は、2021年9月上旬に東京機械製作所様との間で、アジア開発キャピタルによる同社株式の取得に対する防衛アドバイザリー業務に関する契約を締結し、大規模買付行為への対抗策の導入を含めた各種助言を行ってまいりましたが、それに先立ち、2021年春頃に栗尾氏が、当時アジア開発キャピタル代表取締役社長であったアンセム・ウォン氏に対して、東京機械製作所様の株式取得方法並びに買収手法に関する提案を行っていたとの報道内容を受け、当社にて栗尾氏の当時の予定を確認したところ、同時期において栗尾氏がアジア開発キャピタル接触していた可能性があることを認識いたしました。」(強調筆者)

三者が敵対的に自社の株式を買い付けてくる、というのは、ほとんどの会社にとって寝耳に水、天地を揺るがすような大事件であり、だからこそ、どんなに高額なフィーを支払ってでも、アイ・アールジャパンのようなSR活動支援のコンサル会社に藁をも掴む思いで救いを求めることになる。

そして、アクティビストが勢いを増す今の資本市場で、そういった”弱者”のニーズを吸い取る形で業態を拡大してきたのが、これらのコンサル会社でもある。

それがまさかのマッチポンプとは・・・。

今回の件で嫌疑が報じられている元役員は、インサイダー取引の嫌疑がかけられている元役員と同一人物だから、もしかすると、ことは「会社の体質」などと言う大げさな話ではなく、その人物個人のパーソナリティやモラルの問題に収斂させるべき話なのかもしれない。

だが、それを言い出すと、世の中の「企業不祥事」も、多くは「体質」とは無関係の一部の”ならず者”によって引き起こされるものだったりもするわけで、それにもかかわらず、会社全体が火の粉を浴びることになる事件は多々あるし、対市場、対株主、という観点から、そういった逃げ口上を封じてきたのは、まさにこの会社に代表される、IR、SR業界の人々に他ならない。

アイ・アールジャパンは、冒頭のリリースの中で、

「当社といたしましては、当該一連の事象について、東京機械製作所様並びに同社関係者の皆様に対する報告の責務、当社とお取引をいただいているお客様に対する信用、また当社ビジネスにおけるレピュテーションの観点から看過できるものではなく、新たな枠組みにおいて徹底調査を行うべきであると判断いたしました。」(強調筆者)

として、第三者委員会を設置したことも公表している。

いわば株主対策、レピュテーション対策のための”模範”を自ら示すような動きになっているわけだが、だからといって「自ら実践するなんてさすが」と片付けるわけにはいかんだろう。

顛末によっては、業界全体の信頼を揺るがすような話にもなりかねないだけに、今は、とにかく徹底的に真相解明を、というのが今の切なる願いである。

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