セルフジャッジの危うさ

そろそろ秋の気配も・・・という期待むなしく、外を出歩けば依然として蒸し暑さだけが襲ってきたこの三連休。そして、そんなさ中のラグビーW杯。

連休最終日の早朝にはプールDで戦う日本代表にとっては最大の強敵、イングランド戦もあったのだが、4年前とは違って時差もあり、何より今の自分には「熱」も余裕もなく・・・ということで、LIVEで中継映像に張り付くこともせず、出かける前に結果を知らせるニュースとハイライト動画を見た程度だったのだが、そこで知ったのがノックオンにならなかったヘディングパス」からの失点のシーンだった。

前半を4点差で折り返し、追撃のPGも決まって1点差。さぁこれから・・・というところでの失点で、実況も「ノックオン」と言い切っていたようだから、LIVEで見ていた方々が騒然となったことは容易に想像がつくのだが、よく見ればボールを前に飛ばしたイングランドの1番の選手がボールに触れていたのは「頭」。

ゆえにイングランド側のトライは認められ、突き放された日本代表はそのまま力負け・・・という結果となったのだが、こうなると、当然、例の「ヘディング」の瞬間にプレーを止めていた日本選手たちの判断を問う声も上がってくる。

で、そこから自分が思ったことだが・・・。


たかだか3分程度のダイジェスト映像しか見ていない人間に批判されるのでは、フィールドで体を張っている選手たちはたまらない。

それに、場面としては、敵陣深いところまで攻め込みながら相手の出足鋭い守備の前にバタついて好機を逃す典型的パターンだったわけで、想定外の身体との接触で皆見失いかけた楕円球を6番の選手が運よく拾ってゴール下まで持ち込んだからといって、それを止めに行かなかった日本の選手たちを責めるのはちょっとお門違いではないかな、と思う。

ただ、フィールド上のプレーの世界を離れて抽象的にこのシーンだけを見れば、「これってルール違反だよね?」と勝手に判断して足を止めてしまう日本のエスタブリッシュな企業と、そんなことは構わず明確に「違法」というジャッジが下るまでは徹底的に攻め込む市場の競合プレイヤー、という絵にどうしても見えてしまうところがあって、何とも象徴的なシーンだな、と思わずにはいられなかった*1

立ち止まったきりの世の会社たちとは異なり、ラグビーの日本代表はすぐに切り替えてあと2つの大事な試合でまた違う世界を見せてくれるはずだし、個人的には、大会中に電撃復帰を果たす山中亮平選手がキーマンになって、前回よりもっと上の景色まで見せてくれる、と信じて疑わないのだけれど、もっと欲を言えば、今日の抽象化されたモヤモヤをかき消すかのように、今日の後半16分のシーンとは真逆の「ギリギリで点を取る」パターンをどこかで魅せてほしいな、と思っているところである。

*1:そしてその後の試合展開も、一度「違法」と思い込むとお上が「シロ」というまで動けず、ズルズルと攻め込まれる多くのビジネスの在り様の暗喩のように感じられなくもなかった。

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