きな臭さしか感じないニュース。

前の週のうちから既にリーク記事は出ていたから、事柄自体にそこまでサプライズはなかったのだが、実際に出た「処分」の中身は想像以上にしびれるものだった。

LINEヤフー社に対する総務省の行政指導。

総務省は5日、情報漏洩が相次いでいるLINEヤフーを行政指導した。LINEアプリの利用者情報など約51万件が流出した事案について、業務委託する韓国ネット大手ネイバーの管理監督が不適切だったと判断した。委託を見直さなければ、ソフトバンクが関与を強める形で資本関係を変えるよう求めた。」(日本経済新聞2024年3月5日付夕刊・第1面、強調筆者)

この「資本関係を変えるよう求めた」というくだり。

最初に日経紙の速報ニュースでこのくだりを見た時は、まさかねぇ、と思ったし、前週に同じ日経紙が記事を飛ばした時も似たようなトーンのことが書かれていたから、「記者が思いを筆に載せて滑らせたのだろう」くらいにしか考えなかった。

だが、その日の夜、改めて総務省が出したリリース文*1を見ると、

「上記を踏まえ、実効的なセキュリティガバナンスの確保に向け、貴社内におけるセキュリティガバナンス体制の抜本的な見直しや是正策の検討を行うことに加え、貴社の親会社等も含めたグループ内において、委託先への適切な管理・監督を機能させるための貴社の経営体制の見直し(委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含む。)や、適正な意思決定プロセスの構築等に向けた、適切な検討がなされるよう、親会社等に対しても必要な働き掛けを行うこと。」(公表指導文書10頁、強調筆者)

何と本当に行政指導の書面に書かれているではないか・・・。

思えば、業績の伸び悩みを理由に、統合会社の社長がヤフーの川邊氏からLINEの出澤氏に代わったのはちょうど1年ほど前のこと。
その後、「ZHD」は「LINEヤフー」に名を変え、この国のインターネット業界の草分け的存在だったヤフーがLINEの後塵を拝す(あくまで見た目上は)という衝撃的な現象が起きていたのだが、そのタイミングで飛び出したのがこの話だから、もうきな臭いとしか言いようがない。

そういえば、日経紙の飛ばし記事では、ヤフーの元社員のコメントが掲載されていたりもしたし、元ヤフー執行役員警察庁OBの退職話まで掲載されていた。

そこから透けて見えるのは、経営統合して何年も経っているのに、未だに水面下でくすぶる何か、である。

もちろん、本当にそうなのかは外野から計り知れるものではないし、今回の件も純粋な処理なのかもしれない。

ただ、仮にそうだとしても、国家機関が民間企業の資本関係に安易に口を出すなんてことは本来あるまじきことで、たとえそこに立てられているのが「通信の秘密」という錦の御旗だったとしても、この国がそこで”口先介入”が許されるような国であってはならない、と自分は思う。

これを契機に、本当にLINEヤフーの資本関係が見直されることになるのか、それとも次に同じよう「事故」が起きるまでこの「指導」の存在が忘れ去られるのか。今は何とも言えないのだが、今回の一件が「悪しき洗礼」にならないことを、自分はただひたすら祈るのみである。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html