”変化”が恋しかった1か月

4年に一度のサッカー欧州選手権、いわゆるEURO2024。

陸別の大会の中では間違いなく最高レベル、ワールドカップでも「屈指の好カード」といわれそうな対決がグループリーグから贅沢に繰り広げられるし、どのグループもチーム間の実力が拮抗している(しかも3位のチームでも他のグループとの比較で勝ち上がれるシステムになっている)から「消化試合」も少ない。

個人的には好きだったクロアチアがグループに同居したスペイン、イタリアはもちろんアルバニアにすら勝てずに大会を去った、というのはショッキングだったが、オランダを撃破してグループリーグを首位通過したオーストリアや、トーナメント初戦でイタリアを葬り去ったスイスなど、大会が進むにつれて応援したくなったチームも多かった。

基本的にはAbemaの断片的なダイジェスト映像を眺めて楽しむだけだったとはいえ、どの試合でもボール回しの速さ、正確さが際立っていたし、それゆえにスリリングな攻守の切り替えから豪快なミドルシュート炸裂、という展開を目にすることも多かった。

まさに、これぞサッカーの最高峰、欧州のナンバーワンを決める大会にふさわしい、という大会ではあったのだが・・・。


最初はゾクゾクするような感動を味わえたこの大会も、毎日見ていると、同じようなパターンの好守の展開にだんだんと食傷気味になっていった。

トーナメントの上の方にまで勝ち上がってくるチームになれば、世界的なスターが誰かしらかはいるし、それぞれのチームのカラーもはっきり出ていることが多いのだが、それでも「縦」の攻防が主戦場になることは変わりなし。

幸いなことに、今大会では、テクニックで様々な変化を織り交ぜるスペイン代表が順当に勝ち上がり、決勝で欧州クラシックスタイルの権化のようなイングランドを見事に打ち倒したことでサッカーの本来の魅力は保たれたのだが、トーナメントが進めば進むほど、コパ・アメリカのような”混沌”や、アジア大会のような”意外性”、そして何よりも自分が愛するアフリカ選手権的な”熱”が、何となく見えにくくなっていたことは否めない。

そして、間違いなく世界最高レベルの、でも、決して100%は満足できないクライマックスを見届けた後に、「なぜサッカーのワールドカップが、あれほどまでに観衆を魅了するのか」という問いへの答えを見つけ出せたような気がしたのである。

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