クロムサイズ著作権侵害事件

先日のエントリーで予告していたとおり、
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20051025/1130254792
関西の民放5社がクロムサイズというメーカーを相手取って起こした
著作権侵害差止等請求事件(大阪地判平成17年10月24日*1)について、
少し書いて見たいと思う。


この事案は、
集合住宅向けに納入、設置されていた
『選撮見録』というハードディスクビデオレコーダーシステムが、
著作権著作隣接権の侵害に「専ら用いられるもの」にあたる、
と主張した原告が、
被告に対して、商品の使用・販売の差止、廃棄を請求した事件である。


まず驚くべきは、事件番号が平成17年(ワ)488号、と
今年になってから提訴されたものであるにもかかわらず、
当事者の主張が非常に充実していること。


ここで争点となっているのは、

①請求の適法性(本案前の主張)
②商品の構成
③被告商品の使用が、「公衆送信」「送信可能化」にあたるか
④「公衆送信」「送信可能化」の主体が被告といえるか
⑤被告が侵害主体とならない場合に被告商品を差止対象とすることの可否
著作権法30条1項に基づく抗弁・再抗弁

と多岐にわたるのであるが、
著作権侵害に関する原告側の主張立証が不十分として、
請求が退けられた部分を除けば*2
相当見ごたえのある攻防が行われているといって良い。


問題のシステムは、判決の認定によれば、
集合住宅の共用部分にサーバーを設置し、
あらかじめ設置者(集合住宅のオーナー)が選定した放送局の番組を、
各利用者(居住者)がビューワーから出した予約指示に基づいて録画し、
再生指示により再生された番組を各利用者が視聴する、というものであるが、
「全局予約モード」というワザを使えば、
1週間分の番組を見たい時に自由に見られるということであり、
大変画期的なものである(ように思われる)*3


それだけに、放送局側としては、
自社のコンテンツの収益機会を奪われる(可能性)を防ぐために
必死の攻撃を仕掛けたのだろうし、
被告側としても自社のビジネスモデルを守るために、
懸命の応戦をしたというところなのだろう。


ちなみに、原告側には、計15名の弁護士が代理人として名を連ね、
被告側には、麹町パートナーズ法律事務所の岡邦俊弁護士を筆頭とした
3名の弁護士が代理人として付いている*4
当事者欄を見ただけでも、圧倒される判決である。


さて、本件判決の最大の見所は、
上記争点のうち、④、⑤にある。


そこでは、いわゆる著作権法における「間接侵害」の成否と、
それに伴う差止請求の可否、という一大論点について、
両当事者の白熱した主張がなされ、
裁判所も、ある意味「斬新な」手法を用いることで、
実効性のある解決を図ろうとする姿勢を示している。


「間接侵害」に関するリーディングケース、
「クラブキャッツアイ事件」(最三小判昭和63年3月15日*5
「ヒットワン事件」(大阪地判平成15年2月13日*6
などの射程について、詳細に論じられているあたり、
今後、このテーマについて論じる上では、必須の判決となることは、
間違いないように思われる*7


以下、追ってみていくことにする。


まず、①は、「請求の趣旨」において、
どこまで差止の対象物等を特定すべきか、という問題であるが、
この点については、裁判所はあっさりと請求の特定性を認めている。
また、②においても、裁判所は概ね原告の主張に沿う形で、
被告商品の構成を認定している。


③の争点では、
サーバーとビューワーが一つの集合住宅の中に設置されていることから、
「公衆送信」「送信可能化」の定義に該当するかが問題となったが、
裁判所は、著作権法第2条1項7号の2のカッコ書きの規定を根拠に、
被告商品を用いた番組録画が「送信可能化」行為に当たると認定した。


さて、問題はここからである。

著作権侵害の主体が誰か、という④の争点については、
これまでもいろいろと議論がなされてきた。


明確に著作権を侵害している者がいる場合でも、
その者に対して差止めや損害賠償を請求するのが不都合な場合はありうる。
例えば、権利処理がなされていないカラオケ機器を使って、
公衆に向けて歌っている客は、
上演権(著作権法22条)を明確に侵害しているといえるが、
そのような客をいちいち特定して訴訟を提起するのは、
あまりに煩雑な作業であるし、実効性も乏しい。


そこで持ち出されたのが、前掲最高裁判決における「カラオケ法理」であった。


最高裁は、クラブキャッツアイ事件において、

 客やホステス等の歌唱が公衆たる他の客に直接聞かせることを目的とするものであること(著作権法二二条参照)は明らかであり、客のみが歌唱する場合でも、客は、上告人らと無関係に歌唱しているわけではなく、上告人らの従業員による歌唱の勧誘、上告人らの備え置いたカラオケテープの範囲内での選曲、上告人らの設置したカラオケ装置の従業員による操作を通じて、上告人らの管理のもとに歌唱しているものと解され、他方、上告人らは、客の歌唱をも店の営業政策の一環として取り入れ、これを利用していわゆるカラオケスナツクとしての雰囲気を醸成し、かかる雰囲気を好む客の来集を図つて営業上の利益を増大させることを意図していたというべきであつて、前記のような客による歌唱も、著作権法上の規律の観点からは上告人らによる歌唱と同視しうるものであるからである。

と判示し、スナック経営者に不法行為責任を負わせた。


いかに、スナックのスタッフが「雰囲気を醸成」していたといえども、
それをもって侵害主体とするのは、やや無理があるように思われ、
現に、同判決には、伊藤正巳裁判官の「意見」*8も付されている。


しかし、紛争の実効的解決手段としての妥当性ゆえ、
この最高裁判決は、一定の支持を受けるに至った。
そして、本件での当事者の主張にもあるように、
①管理・支配性、②利益の帰属、という要件を満たせば、
自ら著作物を利用するものではなくても、侵害主体として認められる、
という見解が支配的になったのである。


この「カラオケ法理」は、更なる進展を見た。
先述した大阪地裁のヒットワン事件においては、
無許諾店舗にカラオケ装置をリースした業者に対して、
「条理上の注意義務」を根拠に著作権侵害の幇助者としての地位を認め、
さらに法112条1項の「著作権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者」
にあたるとして、原告(JASRAC)の差止請求を認めるに至ったのである。


ヒットワン事件は、JASRAC案件ということもあって、
原告側の主張が一方的に目立っているし、
冷静な研究者、実務家の中には、さすがに行き過ぎでは?という疑念を
呈された方もいるようであるが、
とにかく、このような先例ができたことは事実である。


本件は、上記のような「カラオケ法理」が、
他の場面でも用いることができるものなのかどうか、試される事案となった。


原告側が、上記法理を引用し、
被告商品の設置時、設置後の運用実態等から、
「管理・支配性」や「利益の帰属」の存在をアピールしたのに対し、
被告側は、本件商品の納入は「機器を売り切ってしまう」性質のものであり、
設置後の管理等をメーカーが行っているわけではない、と、
一連の「カラオケ」事例との差異をアピールした。


その結果出されたのが次の判示である。

 まず、被告商品の設置者(集合住宅が賃貸住宅である場合には集合住宅全体の所有者、集合住宅が区分所有に係るものである場合には、管理組合ないし管理組合法人)の立場について検討すると、以下の点からみて、設置者は、本件商品による複製行為あるいは送信可能化行為の過程を管理・支配し、かつ、これによって利益を受けているということができる。
 ・・・(中略)・・・
 もっとも、設置者が複製行為ないし送信可能化行為の主体であるとしても、他に同行為の主体が存在し得ないというものではなく、被告も共同で、又は重畳的に同行為の主体となっている可能性もあるので、この点について検討する。
 ・・・(中略)・・・
 エ このように、被告商品が、本来は自動的に運用可能なものであるとの前提に立ってみれば、前記イ(ア)①(保守契約の締結)、②(保守業務の対価)が通常の電気機器の保守を超えているものとも直ちにはいいがたく、同⑤(移設や改造による無保証)についても、電気機器である被告商品を、他者が不必要に操作したり、改造したりするようでは、被告として十分な動作保証を行うことはできないことから定められたもののようにも思われ、同④(施錠と鍵の保管)は、これに加え、夜間や休日等に、設置者側の立ち会いがなくとも、被告が保守作業を行うことを可能にするという意味とも解され、同(イ)⑧は、被告商品ではないうえ、設置者ではなく賃貸人にすぎないエイブル保証の誤解と理解できないこともなく、これをもって、被告が被告商品について、電気機器に通常みられる保守を超えた運用管理を行っている証左とまですることはできない。
 オ また、被告は、被告商品の導入時に、購入者の指示に応じて受信すべきテレビ放送のチャンネルを設定することがあることは認められる。しかし、このチャンネル選択は購入側に決定権があること、設置後に、購入者(被告商品の設置者)において、チャンネル設定を変更することができることに照らせば、これをもって、被告が導入後の被告商品を管理・支配しているとはいえない。
 カ 被告は、被告商品を販売することにより、利益を受けることとなる。しかし、本来は自動的に運用可能な商品であるとすれば、被告としては、被告商品が販売された後、実際に使用されようとされまいと、利益状況には変わりがないことになるから、被告商品の販売により被告が受ける利益は、被告商品によって録画行為が行われることにより被告が受ける利益ということはできない。
 また、原告らは、被告商品の利用頻度によって機器の劣化も進むから、録画数に応じて被告の利益が増加する関係にもあると主張する。しかし、利用によって機器の劣化が進み、次の部品等購入時期が若干早まるとしても、その程度のことをもって、被告について、被告商品によって録画行為を行う主体という根拠とすることはできない。
 キ 以上の事実からすれば、被告の、被告商品による録画行為に対する管理・支配の程度が強いということはできず、その受けている利益(保守業務の対価)も高いかどうか明確なものでもないため、全体としてみて、被告は、設置者が被告商品によって録画する行為を幇助しているということはできても、録画の主体として被告商品により録画しているというためには、これを認めるに足りる証拠がないというべきである。

事実認定の問題ではあるが、
裁判所は、被告側の主張を認め、
単なる「商品製造業者」に過ぎないメーカーは、著作権侵害の主体とはならない、
と認定したのである。


そして、いよいよ判決文はクライマックスに移る。


原告は、間接的な行為をしているに過ぎない場合でも、
その間接行為が直接行為と異ならない権利侵害実現の現実的・具体的蓋然性を
有する行為である場合には、直接行為と同視できる、
として、間接行為自体が著作権侵害行為そのものにあたる、と主張した。


しかし、裁判所は、単に販売行為が行われた時点においては、
具体的には何らの法的利益も害されていない、とした上で、
さらに次のように述べた。

 例えば、特許法においては、物の発明の特許について、業として、その物の生産にのみ用いる物を製造販売する行為や、方法の発明の特許について、業として、その方法にのみ用いる物を製造販売する行為は、特許権を侵害するものとみなす旨の規定(101条。いわゆる間接侵害の規定)が置かれている。ここで、この特許法の規定においては、そのような間接行為は、侵害行為と「みなす」ものとされているのであり、本来は侵害行為とはいえない行為を、権利侵害に結びつく蓋然性の高さから、侵害行為として法律上擬制しているものである。しかるに、著作権法においては、そのような趣旨の規定は存在しない。なお、著作権法においても、一定の行為については、これらを著作権著作隣接権等を侵害するものとみなす旨の規定を置いているが(113条)、上記のような間接行為はそこに掲げられていない。
 したがって、間接行為が、たとい直接行為と異ならない程度に権利侵害実現の現実的・具体的蓋然性を有する行為であったとしても、直ちにこれを、著作隣接権の侵害行為そのものであるということはできないから、被告商品の販売行為そのものを原告らの著作隣接権を侵害する行為とすることはできない。

前掲のヒットワン事件が、
特許法著作権法はそもそも別物であるとして、明文の規定がなくても、
間接行為者に対して著作権112条1項の適用できる、としたのに比べると、
ここには大きな規範の変化があるように見受けられる。
そして、ここまでは、被告側の思惑どおりに進んでいた。


だが、ここで大阪地裁は意表を付く展開に持ち込んだ。

ア 本件においては、①被告商品の販売は、これが行われることによって、その後、ほぼ必然的に原告らの著作隣接権の侵害が生じ、これを回避することが、裁判等によりその侵害行為を直接差し止めることを除けば、社会通念上不可能であり、②裁判等によりその侵害行為を直接差し止めようとしても、侵害が行われようとしている場所や相手方を知ることが非常に困難なため、完全な侵害の排除及び予防は事実上難しく、③他方、被告において被告商品の販売を止めることは、実現が容易であり、④差止めによる不利益は、被告が被告商品の販売利益を失うことに止まるが、被告商品の使用は原告らの放送事業者の複製権及び送信可能化権の侵害を伴うものであるから、その販売は保護すべき利益に乏しい。
 このような場合には、侵害行為の差止め請求との関係では、被告商品の販売行為を直接の侵害行為と同視し、その行為者を「著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれのある者」と同視することができるから、著作権法112条1項を類推して、その者に対し、その行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である。
 イ すなわち、著作隣接権は、創作活動に準じる活動をする者や、著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者に、法律が規定する範囲で独占的・排他的な支配権を与えるものであり、その享受のために、権利者に、妨害の排除や予防を直接請求する権利を与えたものである。ここで、その行為が行われることによって、その後、ほぼ必然的に権利侵害の結果が生じ、その回避が非常に困難である行為は、権利を直接侵害する行為ではないものの、結果としてほぼ確実に権利侵害の結果を惹起するものであるから、その結果発生まで一定の時間や他者の関与が必要になる場合があるとしても、権利侵害の発生という結果から見れば、直接の権利侵害行為と同視することができるものである。
  ところで、物権的請求権においては、その行使の具体的方法が物権侵害の種類・態様に応じて多様であって、例えば、妨害排除請求権及び妨害予防請求権の行使として具体的行為の差止めを求め得る相手方は、必ずしも妨害行為を主体的に行った者に限定されるものではない。このこととの対比において、上記著作隣接権の性質を考慮すれば、上記のような行為については、その侵害態様に鑑み、差止めの請求を認めることが合理的である。
・・・(中略)・・・ 
 エ 以上の次第で、原告らは、原告らの放送事業者としての著作隣接権である複製権及び送信可能化権に基づいて、被告に対し、上記権利の侵害の予防のために、被告商品の販売行為の差止めを請求することができるものというべきである。

結果として、原告の主張が認められたことになる。


そして、当事者が争っていたもう一つの争点、
著作権法30条1項に基づく抗弁・再抗弁(争点⑥)については、
複製の主体である「設置者」と複製物の使用者である「入居者」が異なることから、
「私的使用のための複製の抗弁」をあっさり退け、
さらに、被告商品は「自動複製機器」(法30条1項1号)にあたるとして
完璧なまでに被告の抗弁を退けた。


著作隣接権に基づく請求の認容であるがゆえに、
差し止めの範囲が大阪近隣府県に限定されてはいるものの、
おそらくは、主文の範囲で請求が認められれば、
原告側の提訴の目的は達せられたといって良いだろう。


本判決において、裁判所は、仮執行宣言をあえて付していない。
侵害の主体に関する判示や、
112条1項の直接適用を否定しつつ類推適用を認めた、
という姿勢から見て取れるように、
裁判所自身も、本件全体を通じて相当迷いがあったように思われる。


それでも、結果として原告の差し止め請求を認めたのは、
古典的なライツホルダーへの配慮ゆえだったのだろうか。


個人的には、いろいろと課題の多い判決だとは思う。
法112条1項の直接適用を否定した論拠(特に明文規定の不存在)によるならば、
類推適用も否定すべきではないか、という疑念は出てくるし*9
私的複製の抗弁に関しても、
もっと充実した説示がなされても良かったように思われる*10


だが、繰り返しになるが、
本件判決が著作権をめぐる議論に与えたインパクトは、
限りなく大きいと考える。


最近、東京地裁知財高裁ばかりが注目を集めているが、
久々に大阪発の大物事件に出会えたような気がする。

*1:http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/caa027de696a3bd349256795007fb825/bb65331fa6fb8960492570a50003ebec?OpenDocument

*2:原告が著作権侵害を主張した放送番組について、個々の番組の特定や著作権の取得原因の主張を行わず、証拠を提出しない、として、請求に理由がないもの、と退けられている。もっとも、放送事業者としての著作隣接権侵害に基づく差止請求が認められれば提訴の目的は達成されるから、早期決着を図って、あえて時間のかかる著作権侵害の主張立証を避けたというのが実態であるように思われる。

*3:詳細については、判決文やクロムサイズ社のウェブサイト(http://www.cyz.co.jp/)を直接参照されたい。

*4:クロムサイズ社のウェブサイトには、岡、小畑両弁護士による「『選撮見録』の録画方式の適法性について」(http://www.cyz.co.jp/news/2004/20040715_01.html)という見解書が掲載されているが、そこにある岡弁護士の略歴を見ると、NHKで実際に番組制作に関わったというキャリアをお持ちのようで、それだけに、強い思い入れをもって、本件訴訟にも臨んでおられたのかもしれない。

*5:http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/FMainOpendoc?OpenAgent&%28%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%20%3D%20%22%8DC5%8BDF%22%20%29%20%20%4F%52%20%28%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%31%5D%20%3D%22%96AF%8E96%22%20%41%4E%44%20%28%4E%4F%54%20%5B%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%32%5D%3D%22%8DC5%8BDF%22%29%29%20%29%20%41%4E%44%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3E%3D%20%31%39%38%38%2F%30%33%2F%31%35%29%20%41%4E%44%20%20%28%46%49%45%4C%44%20%46%6F%72%6D%4D%61%69%6E%46%69%65%6C%64%39%20%3C%3D%20%31%39%38%38%2F%30%33%2F%31%35%29&1&2EE4C2872BEB092F49256A8500311EFB

*6:http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/Listview01/BBDCE32FE9DD587949256D39000E302A/?OpenDocument

*7:なお、当事者の主張の中では、「録画ネット事件」(東京地決平成16年10月7日)というケースも出てきているが、残念ながら最高裁のウェブサイトに掲載されておらず、いまだ内容を確認するに至っていない。

*8:結論に賛成しつつも、理由付けとしては、カラオケ装置によるカラオケテープの再生自体を演奏権の侵害と捉えるのが相当であると述べられている。

*9:仮に本件被告への差し止め請求を否定したとしても、原告にはサーバーの設置者を相手取って訴訟提起するという手段が残されているのだから、裁判所はそこまで原告に「楽をさせる」必要はなかったようにも思われる。

*10:先に紹介した岡・小畑両弁護士の見解書では、「特定少数者が共有し自ら操作する閉鎖的なシステムであること」等を挙げて、『選撮見録』が私的複製の範囲を逸脱するものではない、とされており、このような主張にも一定の説得性はあるように思われるのである。

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