大合併の時代!?

ついにここまで来たか、という感あり。

M&A(企業の合併・買収)など企業法務に強い西村ときわ法律事務所(東京・港)とあさひ・狛法律事務所(同・千代田)が来春の合併で大筋合意した。所属弁護士数の合計は約370人(日本の弁護士会登録数)で、国内最大の弁護士事務所が誕生する。国際的M&Aなどでは海外大手事務所との競合も激しく、規模拡大で競争力強化を目指す。」*1

事務所が抱える弁護士数とその事務所の“力”は
必ずしも比例するものではないと思っているのだが、
業界最大手の長島・大野・常松、森・浜田松本を150人以上上回る規模の事務所が
誕生するとなれば、与えるインパクトはやはりそれなりに大きいものがある。


これだけの大事務所同士の合併、となると、
記事の中でも触れられているとおり、
「双方の所属弁護士が担当する顧客企業を巡る利害関係の調整が必要」
なのは間違いないところで、
それゆえ、クライアントの側にとっても
ことの帰趨が重大な関心事となるのは確かだ。


もっとも、通常の企業合併と違って、
法律事務所の合併、巨大化は、
“顧客取りこぼし”という大きなリスクも伴うものでもある。


法務担当者の立場からみれば、
いざ問題が起きたときに、
日頃から密な関係を保っていた弁護士にお願いしようとしたら、
相手も同じ事務所の先生に先に相談していて、
“早いもの勝ち”ルールで路頭に迷う、というのが一番怖い話。


ゆえに、合併のニュースを聞いて、
付き合い方を見直そう、という考え方が出てきても、
決して不思議ではない。


そもそも、どんな大企業でも(いや、むしろ大企業だからこそ)、
古くからの付き合いがあり、社内事情にも精通している
小規模・個人事務所を必ずといって良いほど抱えており、
それらの事務所の方が社内におけるプライオリティも高いのであって、
上位の法律事務所が合併を繰り返し、
取り揃えている“商品”も似通ったものになってきている今、
四大事務所のどこを使うか、なんてことは、
担当者の気分次第でどうにでも変えられる話なのだ。


西村ときわ法律事務所の執行パートナー、小杉晃弁護士は、
『Lexis企業法務』のインタビューの中で、
「弁護士事務所は、ますます大型化が進んでいくか?」という問いに対し、

「我々は、人数だけ多くても「烏合の衆」では意味がないと考えています。組織的な一体性はもちろん、一人一人の弁護士がプロフェッショナルとして必要な素養あるいは経験を積む機会、教育体制も必要ですし、弁護士が業務を遂行する上での人的、物的インフラも整備していかなければなりません。」*2

とコメントされているが、
弁護士やパラリーガルが大幅に増加した組織において、
個々の弁護士が上記のような「経験」を積む機会が十分に確保される保証はないし、
「人的、物的インフラ」を整えるのも容易なことではないだろう。
パートナー昇進の途が狭まる中、
アソシエイト弁護士たちのモチベーションの低下も懸念される。


ここを乗り切れば、
M&Aの名門』たる西村ときわの名声もより高まるのだろうが、
医者の不養生、紺屋の白袴、なんて言葉もあることだし、
こればっかりは簡単な話ではないように思う。



・・・と、外野からの野次はこれくらいにしておいて、
目下の個人的な関心事は、


合併後の事務所の新名称。



「西村ときわあさひ狛」だけはやめときましょう・・・(笑)。

*1:日経新聞平成18年4月4日付朝刊第1面。

*2:『Lexis企業法務』第2号51-52頁(2006年)