ライセンシーにとっての福音?

経済産業省は、企業再編などに伴って特許の所有者が代わっても、技術供与を受けた企業が特許の使用権を引き続き維持できるようにする新制度を導入する。技術供与の契約内容をあらかじめ経産省に登録して契約に含まれる多数の特許の使用権を一括して守れるようにする。」(日経新聞2006年12月14日付け朝刊・第1面)

以前から議論がなされていた特許等ライセンシーの保護に関し、
新たな展開か・・・!と思わせるこの記事。


だが、よく読めば、
結局は登録しなければ保護されないことに変わりはない。


一件一件通常実施権を登録する場合と比べれば
多少なりとも手間が緩和されるのは確かだし、
登録に際しての費用負担も、現在の制度下でのそれよりは
引き下げられることになるのだろう。
「登録内容は一般公開しない」という点においても、
現在の制度よりは使いやすくなっているのは確かである。


しかし、いかに包括的な登録が可能とはいえ、
現実に企業再編が行われることが予想できない状況下で
あえて契約内容を登録することに意義を見出せる企業は、
果たしてどれだけあるのだろうか?


多くのライセンス(クロスライセンス)契約を抱える
大企業の知財部門に、登録するコストに見合うだけのメリットを
感じさせるのはたやすいことではないような気がする*1


ゆえに、仮にこの案が現実化したとしても、
契約内容の登録という実務が定着するまでには、
暫く時間がかかるのではないか・・・


そんな気がしている。


(追記)
アドバルーン記事かと思ったら、
ちゃんとパブコメにもかかっていることを確認。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=595206031&OBJCD=&GROUP

*1:一本の技術供与契約に会社の命運が託されているような中小企業であれば、登録へのインセンティブも湧くだろうが、それでも最終的に登録に至るかは、相手方が登録に協力してくれるかどうかに左右されることになる。

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