弁護士ランキング

昨年もこの時期にとりあげた*1日本経済新聞社のアンケート。
26日付け朝刊紙面で、各種データが公表されている*2


昨年のデータと見比べてみると、
面白いことに同じような対象にアンケートしているにもかかわらず*3
がらっと変わってしまった回答の“傾向”にある。


例えば、「弁護士への依頼が増えそうな分野」として
企業法務担当者が挙げているのは、

「訴訟など紛争解決」63%
「内部統制・コンプライアンス(法令順守)」61%
「友好的なM&A(企業の合併・買収)52%
敵対的買収への対応」 33%

という項目になっているが、
昨年のアンケートでは、
ここまで「紛争解決」業務へのニーズが高くなかったし、
逆に、昨年「関係をを強化したい弁護士の得意な業務」の
トップに上げられていた「敵対的買収への対応」は、
今回はあまり重きを置かれていないように見える。


まぁ、結局はこの手のアンケート、といっても、
部全体の施策決定ラインからは程遠いところにいる一介の担当者が
いつの間にか片付けてしまう、というのが常であるから、
「会社が真に求めているか否か」という観点よりは、
世の時流に合わせたよりミーハーな観点から回答してしまう、
という傾向があるのは否めない。


来年になればなったで、
たぶんその時の流行ものがトップに来るだろうから、
こんな結果に合わせて事務所の方針を変えるなんてことは、
しない方が身のためだと思う(笑)*4


なお、昨年と同様に行われた、
お楽しみの弁護士人気ランキングは次のような結果になった。

弁護士が選ぶランキング(2006)
1.石綿学氏   森・濱田松本法律事務所
2.佐藤正謙氏  森・濱田松本法律事務所
3.藤縄憲一氏  長島・大野・常松法律事務所
4.小舘浩樹氏  アンダーソン・毛利・友常法律事務所
5.梅野晴一郎氏 あさひ・狛法律事務所

昨年首位の藤縄弁護士(51歳)や2位の木村明子弁護士(59)*5
を押しのけ、堂々の首位になったのは若干36歳の石綿弁護士。


去年のランキングでは森・濱田松本「以外」の三大事務所が
上位を独占していたことを考えると、
2位の佐藤正謙弁護士(41)とあわせて、
一気に巻き返しを果たした感がある*6

企業が選ぶランキング(2006)
1.中村直人氏 中村・角田・松本法律事務所
2.武井一浩氏 西村ときわ法律事務所
3.鳥飼重和氏 鳥飼総合法律事務所
4.藤縄謙一氏 長島・大野・常松法律事務所
5.柳田幸男氏 柳田野村法律事務所

一方、こちらのランキングでは、昨年同様、
メディア露出の多い先生方が名を連ねている。


特に上位3氏に関しては、昨年も同様に1〜3位入線を果たしており*7
法務業界における確固たる地位を築いたというべきだろうか。


もっとも、投票している企業法務担当者の中には、
「とりあえず有名人に投票しとけ」的な感覚で票を投じている者も
多いだろうし*8
メディアでの露出度合いが実力をダイレクトに反映するわけではない
というのは、この業界に限った話ではないから、
健全な法務担当者であれば、このようなデータは、
飲み会の刺身のツマにでも留めておくのが賢明だろう(笑)。


結局は有名だろうが無名だろうが、
人気者だろうが嫌われ者だろうが、
お願いした仕事に対して、
迅速かつ的確にレスポンスを返してくれる先生であれば、
担当者にとって何ら問題はないのであって、
そこに“ブランド志向”が入る余地などない。
そしてそれこそが、いつの時代でも決して変わらない、
法務という仕事の真髄だと思うのであるが・・・*9

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20051223/1135306868#tb

*2:2006年12月26日付第1面、第31面。

*3:主要290社の法務担当者と、企業法務分野で実績のある弁護士497人がアンケート調査の対象となっている。

*4:まさかそんなことをする先生はいないと思うが。

*5:本年は第9位タイ。

*6:これは組織票か?と・・・(笑)。(追記)コトのからくりは、小倉先生のブログをご参照あれ(http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2006/12/post_0ca8.html)。

*7:昨年は、武井氏が1位、以下、中村氏、鳥飼氏(ただし他の4氏と同得票数)と続いている。

*8:実際に実務に触れていない法務部長クラスが回答する場合にはなおさらその傾向は強まるだろう。

*9:もっとも、ある先生に初めて仕事をお願いする場合に、どこかの新聞やら雑誌やらの「人気ランキング」に載っているかどうかで、上司の受けの良さが変わってくるというのもまた事実なのであるが・・・(苦笑)。