天下の日本経済新聞が何てアホな見出しつけるんだ、
と思った2006年12月26日付朝刊第1面。
リード文には次のようなことが書いてある。
「公正取引委員会はソフトウェアに関する独占禁止法上のルールを新たに制定する。高い市場占有率(シェア)を持つソフト会社が、自社製品の抱き合わせ販売を顧客に強制するといった行為を禁じる方向で検討する。ソフトについて違反を判断する基準がない状態を改めるのが狙い。米マイクロソフトの独禁法係争などが世界的な広がりをみせていることに対応する。」
これだけ読むと、
今まで規制されていなかった行為が新たに規制されたのか!
と反応したくなるところだが、
よく読めば、そんな大それた話ではないことは明らかである。
なぜなら、
は、現在の独禁法の規定に照らしても、
十分に規制対象になりうるものなのであって、
今回の公取委の動きは、「シロをクロにする」ものではなく、
「クロがクロであることを明確にする」ものに過ぎないからである。
特定企業の行為が独禁法に違反するか否かは、
あくまでも独禁法そのものの解釈によって
裁判所が最終的に決めることであり、
公取委が制定する「ガイドライン」は単なる指針に過ぎないし、
公取委が最終的な違法性の有無を決することもできない。
ゆえに、今回の公取委の“ルール制定”は、
曖昧だった分野について「実務的に動きやすくする」効果は
もたらすものではあるとしても、
「新たに規制を行う」といった類のものではない、
そう、理解するのが正しいのではあるまいか。
同紙は記事の中で、
「独占で消費者の利益が侵害される通常の製品とは異なり、市場で流通しにくい特許権や著作権などは開発者や制作者の独占を認めるのが原則。特許技術を持つ企業が、それ以外の自社技術を使うことを求める契約を顧客と結んでも、独禁法違反となる「優越的地位の乱用」や「抱き合わせ販売」とすぐに認定されるとは限らない。」
などと述べているが、
別に「市場で流通しにくい」から特許権の独占が
認められるわけではないし*1、
特許技術を持つ企業が行った契約が、
すぐに独禁法違反と認定されるとは限らない、というのは、
仮にガイドラインができたとしても変わることはないだろう*2。
おそらく上記記事は、あまり法律に詳しくない記者が
書いた記事なのかもしれないが、それにしても・・・
という部分があまりに多かったので、
あえて付言した次第である。