対決・文藝春秋vs朝日新聞

先週発売の『Number』誌の巻末に、「もっとフェアプレーを」という、編集部の“怒り”のこもったメッセージが掲載されている。通常なら読者からの手紙が紹介されているコーナーに・・・。

「相次いだスポーツ総合誌2誌の休・廃刊をもって、ナンバーも同様に苦戦しているかのような、実情とはまったく異なる報道が一部新聞でなされました。結果、記事を読んだ読者の皆様から、「ナンバーは大丈夫なのか」というご質問が、多数寄せられました。これ以上、いらぬご心配をおかけしないためにも、この場で事実関係を説明したいと思います(そのため、読者からの手紙はお休みとします。ご了承ください)」
(Number670号114頁)

驚いた(笑)。


ナンバー誌が問題にしているのは、1月6日付け朝日新聞夕刊に掲載された「スポーツ総合誌苦境」という見出しの記事の中で「老舗ナンバーも「苦戦気味」という活字が躍った」ことにある。


ナンバー誌の説明によれば、取材にきた朝日新聞横浜総局の記者に対し、数字を出して「部数的に低迷している事実はない」ことを説明したにもかかわらず、紙面上では休・廃刊となった他の雑誌*1と一緒こたにされてしまった、ということで、編集部側では「朝日新聞社に対して抗議を行い、誠意ある回答を求めてい」るそうだ。


まぁ、巷ではこんな話はよくあることで、特に最近では、取材対象となった側が伝えたかったことの1割も記事には反映されていない、ということも決して珍しくはないのであるが*2、今回は相手が悪かった。

「取材に際してナンバーは、スポーツと同様、常にフェアであることを心がけています。フェアな精神があって初めて、自由闊達な報道が可能になると考えるからです。その意味でも、今回の記事は残念でなりません。」
(同上)

質の高いライターを揃え、時には一般紙やスポーツ紙が報道しないある種の“タブー”に果敢に挑戦することもある『Number』。雑誌としてのクオリティでは、『AERA』などの新聞社系の雑誌を遥かに凌駕するこの雑誌と文藝春秋社を敵に回したとなると、天下の朝日新聞といえども、今後何らかの返り血を浴びることは覚悟しなければならないだろう。


商業雑誌としての宿命で、「フェア」を謳いつつ、時には“ヨイショ記事”を載せることも余儀なくされている同誌であるが、特定メディアによる他メディアへの“攻撃”はやはり性質が違うといわざるを得ない。


この先、どういう方向に話が進んでいくのかは分からないが(気がつけばいつの間にか終わっている程度の話なのかもしれないが)、この喧嘩、やはり自分は『Number』誌側の肩を持っておくことにしたい・・・。

*1:光文社の『バーサス』、角川書店の『ヤァ!』。

*2:これはここで槍玉に挙がっている新聞社に限った話ではないが、ここは特に酷い(苦笑)。もちろん新聞社側には、取材対象の意図をそのまま伝える義務などないし、独自の評価を加えて論評するのは大いに結構なのだが、最低限伝えるべき客観的事実まで(意図的に?)抜かしたり、曲解したりして都合よく紙面を構成しようとするのは、ジャーナリズムを標榜するメディアとしては決して誉められたものではない。

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