これが経営だ。

目先のチマチマした利益を追い求める風潮が強い世の中を、嘲笑うが如く出されたJR東海の報道発表。

東海旅客鉄道JR東海)は26日、2025年に首都圏と中京圏を結ぶリニアモーターカーの営業運転開始を目指すと発表した。東海道新幹線の輸送能力が限界に近づいていると判断、代替輸送機関に位置付ける。着工時期や具体的なルートなどは今後詰める。」(2007年4月27日付け朝刊・第1面)

記事にもあるように、建設費が数兆円にも上ると予測される中、「資金の手当てなど課題は山積」している状況だし、仮に開通したとしても、既に「東海道新幹線」という大幹線が存在している現状では、それは「東京−名古屋(大阪)間のバイパス」的な位置づけとなるものに過ぎない。


「長期債務残高約3兆4000億円」「純現金収支の黒字が2000億−3000億円程度」という内容の会社が、「慎重な姿勢を崩していない」国土交通省のバックアップが期待できない中で、果たしてこの壮大な構想を18年後に実現できるのか、現実主義的な視点で見れば、“無謀”とのそしりは免れない話だろうと思う。


だが、短期的なコミットメント、それも「売上高営業利益率」だの「総資産利益率」だの、といった、ちまちました指標を追い求めることにしか目が向かなくなった世の経営者たちに対して、

「本来、企業とは何をすべきなのか」

という経営の真髄を問いかけたことの意義は大きい。


思い返せば、今ある「新幹線」だって、当時は無駄な投資といわれたものだ。だが、あの時、無謀といわれながらも“弾丸列車”構想を現実化するために情熱を注いだ、そんな人々がいなければ、今の日本は存在しない、といっても過言ではなかろう。


その辺りのコンサルタントやアナリストの安易なご託宣に乗っかって小銭を稼ぐだけでは、何のために会社で仕事をしているのか分からない。それは経営者でも一担当者でも同じことだ。


誰にも予測できないことを大胆に成し遂げて初めて、人が仕事をする意味というのが出てくるわけだし、そのような大胆さを集積し、コントロールできる人物でなければ、本当の「プロ」とはいえない。


これは鉄道の世界に限らず、全てに共通する理だと自分は思うのである。

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